会見では、2022年ごろの導入を目指すADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術に関連するデモンストレーションを披露した。会見場となった佐江戸車両試験場は、オートモーティブ開発本部などが拠点を構えるパナソニックグループの佐江戸事業所内にある。今回のデモは、2016年6月に開設したばかりの車両試験場内のテストコースで行われた。
行ったデモは「自動運転EVコミューター」「後方緊急自動ブレーキシステム」「自動駐車システム」の3つだ。
自動運転EVコミューターは、「自動車メーカーの立場に立って使いやすいソリューションを作るため」(水山氏)に開発したコミューター型EV(電気自動車)だ。外形寸法は全長2.5×全幅1.3×全高1.4mで、車両重量は566kg。48Vのリチウムイオン電池パックと、充電器、12Vシステム向けに降圧するDC-DCコンバーター、インバーター含めた電動システムを搭載している。これらは全て自社開発だ。
センサーは、前方を検知するステレオカメラ、車両の全周を見る全周囲カメラ、屋根部に設置されたライダー、GPSの他、ミリ波レーダーなども搭載している。現時点で、パナソニックが開発に注力しているセンサーは、カメラとソナー(超音波センサー)だが、それ以外のセンサーも搭載しているのは「自動車メーカーにとってどのようなソリューションが必要なのかを理解するには、自社で開発していないセンサーも実際に使ってみなければ分からないことも多い。また、当社のカメラやソナーと、他のセンサーとの間で連動が必要になることもあるからだ」(パナソニック AIS社 オートモーティブ開発本部 映像・センシング技術開発センター 所長の後藤昌一氏)という。
デモでは、自動運転EVコミューターが、障害物回避走行、飛び出し歩行者の検出・停止・走行再開、旋回コースの走行、赤信号での停止から青信号での発信などを自動で行う様子を見せた。水山氏は「2017年度内の公道走行を目指している」と述べる。
「後方緊急自動ブレーキシステム」では、新たに開発したソナー(超音波センサー)の性能について、従来品との比較を示して見せた。新開発ソナーは、出力する音波の変調によって音色付けと検知距離の増大を図っている。音色付けでは、他のソナーとの混信が避けられる。検知距離については、従来品が直径6cmのボールを約2mまで検知できるところを、開発品は5m以上でも検知できるという。
直径6cmのポールに向かって車両が後退するとき、ポールを検知して自動停止する動作について、従来品は時速6kmまでしか対応できないのに対し、開発品は時速15kmでもきちんと停止することができた。センサーモジュールのサイズも、従来品と開発品は同等である。
「自動駐車システム」では、車両の全周囲を検知するカメラ4個と、車両の前方と後方を検知する短距離ソナー8個、車両側方を検知する長距離ソナー4個を組み合わせたセンサーフュージョンにより、ステアリングとブレーキを自動制御しさまざまなスペースに自動駐車する様子を見せた。
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