第1回大会では、ロボット同士がなかなか出会わなかったりして、あまりかみ合った試合がなかったのだが、今回の大会はそれよりも見応えのある試合が増えたのは良かった点だろう。
ただ個人的に残念に思うのは、せっかく出場ロボットの台数が増えたのに、似たような制御のロボットばかりになってしまったことだ。PSDセンサーや超音波センサーだけを使い、プログラミング無しでも自律バトルを実現できるのは興味深いし、そのためにさまざまな工夫をしたのだろうとは思うのだが、このままでは技術に先が無い。
確かに、今の自律バトルに勝つためだけであれば、これで十分だ。しかし、自律制御の優劣は関係なく、結局はハードウェアの強さだけで勝負が決まるようになってしまっては、面白くは無い。相手の横に回り込み、安全な場所から攻撃を決める。そんな戦いが見たいと思うし、そのためには光学カメラや3Dカメラ等を使う必要がでてくるだろう。
現在の技術では、まだ人間が操縦するロボットに勝つのは難しいかもしれない。しかし、5年後、10年後はどうだろう。
競技は違うのだが、例えば自律サッカー競技「ロボカップ」の小型リーグなどは、円筒型の小型ロボットが高速に移動し、正確なパスワークを実現している。人間が操縦で対抗しようとしても、おそらく勝つのはかなり難しいだろう。ROBO-ONE autoも、目指すべきはそういうレベルではないだろうか。
そのために、まずは参加者のレベルアップが欠かせない。ROBO-ONEはもともとメカに強い人が多く、ソフトウェアの人材はやや手薄といった印象がある。ROBO-ONEを主催する二足歩行ロボット協会 理事長の西村輝一氏もその点は認識しており、「いずれは画像認識などが必要になる。サンプルを作って公開することも考えている」と述べる。
その他、ソフトウェア側の人材を巻き込んでいくための取り組みも重要になってくるだろう。ロボットは、メカ、エレキ、ソフトが融合したシステムである。全てを1人で担当するのは大変なので、今後、チーム化も進展するかもしれない。
将棋や囲碁の世界では、すでにAI(人工知能)がトッププロに勝つまでになった。すぐに、人間では全く歯が立たないレベルに到達するだろう。ロボットバトルでも、自律機が人間のチャンピオンに勝つ日が来るか。技術者であれば、ぜひその日を目指して、自律ロボットバトルの進化に挑戦して欲しいと思う。
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