そして、ROBO-ONEの新たな挑戦として、2017年2月に始まったのが「ROBO-ONE auto」だ。このautoは基本的に“自律ロボット版のROBO-ONE”と考えれば良い。バトルのルールはほぼ同じ。重量制限はROBO-ONEの3kgから5kgへと緩くなっているが、これはセンサーやコンピュータを追加するための配慮だ。
使用できるセンサーは特に指定が無く、何を搭載しても構わない。自律バトルのために必要な機能としては、相手を見つけて接近/攻撃する機能、床の有無を検出してリングアウトを防ぐ機能、転倒を検知して起き上がる機能などがあり、これらを実現するためにセンサーをうまく活用しなければならない。
制御用のコンピュータも自由に選択できる。サーボモーターを制御するロボット専用コントローラーをそのまま使っても構わないし、汎用CPUボードやスティックPCを搭載しても良い。また、無線ネットワークを介して外部PCを利用することは許可されているので、ハイエンドPCを持ち込んで、より高度な処理を実装することも可能だ。
ただ、今のところROBO-ONE autoで主流なのは、PSD(Position Sensitive Detector)センサーや超音波センサーなど測距センサーを使ったシンプルな制御。これらは1方向に対する距離しか計測できないセンサーだが、計測結果がアナログ電圧で出力されるので、ロボット専用コントローラーで利用しやすい。1方向しか計測できないという弱点は、複数のセンサーを使うことである程度カバーできる。
ホビーロボットは一般的に、パラパラ漫画のように、複数の指定したポーズを順番に再生することで、歩行や攻撃のモーションを実現している。コントローラーとして利用されることが多い近藤科学の「RCB-3/4」やヴイストンの「VS-RC003」では、専用のGUIソフトウェアを使い、フローチャートを描くように、ロボットのモーションを作成できる。ここで、センサーの値で条件分岐するようにすれば、自律制御が可能になるわけだ。
優勝した「キング・プニ」も、この方式を採用していた。使用したのはPSDセンサーのみ。両膝のPSDセンサーで前方を確認、両手のPSDセンサーで広範囲の索敵や床のチェックを行うことで安定した戦いを見せ、初戦からダウンの山を築いていた。
ほとんどのロボットがこうした方式なのだが、唯一、光学カメラによる画像認識を利用していたのが「フランくん」。画像処理ライブラリ「OpenCV」を利用し、色相の特徴点を抽出することで、対戦相手の認識を行っていた。カメラはドローン用のジンバルに取り付けられ、ブレを抑える工夫も見られた。
ただ、フランくんはROBO-ONE Lightの公認ロボットである近藤科学の市販キット「KHR-3HV」がベースのため、重量級を相手にするとパワー不足は否めない。KHR-3HVだとせっかく攻撃を当ててもダウンを奪うのは難しいので、次回は大型化した機体での出場を考えているそうだ。
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