凸版印刷は、デジタルカメラで撮影した画像から、CADへの適用にも耐え得る高精度な3Dモデルを生成することに成功した。製造デザイン工程において、高価な専用機器でしか実施できなかった3D形状計測が、民生品のデジタルカメラで可能になる。
凸版印刷は2017年9月、デジタルカメラで撮影した画像から、CADへの適用にも耐え得る高精度な3D形状モデルを生成したと発表した。
同社は、2014年に東北大学と共同で、異なる視点から撮影した複数の画像から精度の高い3D形状モデルを生成する「多視点ステレオ技術」を開発している。今回、さらに高精度化を目指し、対象物に合わせて対応点を最適化する推定技術や対応点の統合技術、生成アルゴリズムを改良。より高精度なモデル生成が可能になった。同技術の有効性を検証するため、同社は2016年6月から本田技術研究所の協力のもと性能評価実験を実施している。
性能評価実験では、本田技術研究所が製作したドアのクレイモデルに対し、凸版印刷が同技術を適用して3D形状モデルを作成。そのモデルを表面平滑化処理し、工業用3D測定機の測定結果と比較評価した。
その結果、A4サイズの範囲で誤差0.08mmと高精度なモデルの生成に成功。誤差マップでは、誤差がおおむね±0.03mm以下を示す領域が多く、精度の高さが確認できた。また、モデリング分野で滑らかさを確認するために用いるゼブラパターンを投影したところ、滑らかさを示す明確な縞模様が表示されたことから、簡易的モデリングに十分な形状であることが分かった。
同技術を用いることで、製造デザイン工程において、高価な専用機器でしか実施できなかった3D形状計測が、民生品のデジタルカメラで実施できる。
表面形状のデジタル化には、レーザーレンジスキャナーや光学式3D計測定器などの専用装置が広く活用されている。これらの専用装置は計測精度は高いが、高額で利用する際の準備に負荷がかかり、手軽に測定しにくいといった課題があった。
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