今後の製造業の発展に向けて必要不可欠とみられているIoT(モノのインターネット)。本連載では、IoTの現在地を確認するとともに、産業別のIoT活用の方向性を提示していく。今回は、日本国内で動きが見えないIoTサービスの具体化について、半導体商社、エレクトロニクス商社が果たすであろう役割について紹介する。
本連載の第2回で筆者は「IoT(モノのインターネット)とは単なる概念にすぎない、早く事業内容を具体化して、IoTという単語に振り回されないことが重要」という趣旨のことを述べさせていただいた。「IoTのことは理解しているが、具体的な事業化は検討していない」というケースが増えないように、少しでも具体化が進むように、との願いを込めてのコメントだったが、意に反して「具体化」は日本国内でさほど進んでいるようには見受けられない。くどいようで恐縮だが、ここではIoTサービスの具体化に向けて、再び私見を述べてみたい。
下のグラフは、インターネットに接続されるデバイスの数量(稼働ベース)を予測したものである。2017年現在、約270億個のデバイスがネット接続しており、2030年にはこれが1200億個を超えるようになるとIHS Markitでは予測している。
特に伸び率が高いのは「Industrial Electronics」いわゆる産業機器分野であり、年平均24.3%という成長率でこの市場をけん引することが期待される。
例えば、オフィスビル、商業店舗、工場、倉庫、さらには農業施設や漁業施設など、さまざまな現場の情報を監視カメラやセンサーを使ってサーバに送信し、収集されたデータを分析することによって、業務の効率化や自動化を推進する、という活用方法が想定される。今までネットに接続されていなかった現場(モノ)を接続することで、大きな経済効果を期待できるのがこの分野なのである。
「確かにそういう展開になりそうだ」あるいは「そんな話はあちこちで聞いている」という感想をお持ちの読者も多いのではないだろうか。
筆者もこれまで何度かこのようなプレゼンをさせていただいたし、このこと自体に反論されたり疑問を持たれたりした記憶はない。つまり、このシナリオはすでに多くの業界人に浸透している、と考えて良いだろう。
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