また、IHS Markit Technology シニアアナリストの大庭光恵氏は、5Gの登場によりOSや上位レイヤーを持つプラットフォーム企業や、密接な関係のプロセッサメーカーによる囲い込みが活発になると指摘した。
この陣取り合戦の中で、あまり優位といえないのが日本企業だ。先述した「OSや上位レイヤーを持つプラットフォーム企業」が存在しないことが最大の要因だ。唯一強みといえるのが、産業用ロボットやMCU(マイコン)といった、IoTにおける端末やデバイスの領域である。大庭氏は「プラットフォームが日本にない中で、これらの領域がシェアを伸ばすには、プラットフォームにどのように関与していくが重要だ」と語る。
さらに、IHS Markit Technology 主席アナリストの大山聡氏によれば、5Gのニーズをけん引するのは自動車だという。大山氏は、通信機能を持つ自動車=コネクテッドカーの市場規模が2025年に2億台になると予測した上で「この台数は、携帯電話機と比べれば10分の1程度で多いといえない。しかし台数以上に、コネクテッドカーに求められるリアルタイム性とデータ量が、5Gに与えるインパクトが極めて大きいことが重要だ」と説明する。
【訂正:2017年7月18日11時00分 初出では「コネクテッドカーの市場規模が2025年に10億台」となっておりましたが、IHS Markit Technologyから数値に誤りがあったという申し入れがあったため訂正しました。関連の図版データも差し替えました。】
例えば、世界のクラウド市場における自動車向けクラウドが占める容量は、2020年時点で2%にすぎない。しかし、5Gとコネクテッドカーの普及が相まって、2025年には10%を占めるようになると予測している。
5Gの登場により、さまざまなサービスとのデータ共有も進む。ガソリンスタンド/サービスステーション、流通/物流、自動車保険、カーシェアリングなどだ。さらに「自治体や警察、公共交通機関といったパブリックセクターとのデータ共有も見逃せない」(大山氏)としている。
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