日本一の生協・コープさっぽろが誇る“シンの”トヨタ生産方式のヒミツとは:鈴村道場(6)(3/3 ページ)
当初は1日に1回しか生産、配送できなかったため、店舗も多めに注文をする傾向にあった。
改善を進めるうちに、1日に1回しか生産できなかった体制を20回まで小ロットで生産できるようにレベルアップした。作業現場の見える化・標準化により多能工化が進み、作業の改善や製品不良が削減された。受注〜店舗納品のL/Tが10分の1以下になり、廃棄ロスが5年でなんと毎月約10トン削減された。
図3 導入効果(クリックで拡大)
上記のことから食品製造業の経営改善のポイントについてまとめます。
図4 食品製造業におけるトヨタ生産方式適用のポイント(クリックで拡大)
今回は、総菜のような消費期限の短い食品製造への適用事例になります。より消費期限の長い、一定期間保存がきく食品の製造については次回ご説明します。
エフ・ピー・エム研究所 所長
鈴村尚久(すずむら なおひさ)
1976年3月京都大学法学部卒業。1976年4月トヨタ自動車入社。退社後1999年8月にエフ・ピー・エム研究所を設立。トヨタ生産方式のコンサルタントとして、はくばく、ピップフジモト、パナソニック、マルヨシセンターなど多くの企業の生産改善を手掛ける。著書に『トヨタ生産方式の逆襲』(文春新書)。父・鈴村喜久男氏(故人)は「トヨタ生産方式」の生みの親である大野耐一氏の側近として知られる
株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)
NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、
原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。
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