富士フイルムは、人工知能を用いて画像診断をサポートする類似症例検索システム「SYNAPSE Case Match Ver.3.0」に、新たにびまん性肺疾患の症例検索機能を搭載した。
富士フイルムは2017年2月27日、人工知能を用いて画像診断をサポートする類似症例検索システム「SYNAPSE Case Match(シナプス ケース マッチ)Ver.3.0」に、新たにびまん性肺疾患の症例検索機能を搭載したと発表した。富士フイルムメディカルを通じて販売する。同システムは、4月14〜16日にパシフィコ横浜にて開催される「2017国際医用画像総合展(ITEM2017)」に展示予定だ。
SYNAPSE Case Matchは、医師が画像診断の際に留意する画像所見の形状やパターンなどをAI技術を用いて数値化し、過去の症例データベースから特徴が似ている順に症例を提示するシステムだ。
これまで、肺がんと肝臓がんの腫瘍性疾患を類似症例検索の対象としてきたが、肺全体に生じるびまん性肺疾患を検索対象に追加した。びまん性肺疾患の重篤化を防ぐためには、高分解能CTを用いた画像診断で早期に肺野内の変化を観察して治療方針を決定する必要がある。しかし、その画像所見は多様で、見た目が似ていても異なる疾患であることも少なくない。また、膨大な画像所見と疾患のパターンを把握しておかなければならず、びまん性肺疾患の画像診断は難しいとされていた。
最新版では、静岡県立静岡がんセンターで蓄積された肺がん約1000例、肝臓がん約300例の症例データベースに加え、新たに虎の門病院で蓄積された55疾患100症例以上のびまん性肺疾患の症例データベースを搭載。類似した症例画像を疾患ごとに検索し、似ている順番に画像を表示する。医師は同システムに表示された画像から参考にしたい症例を選択し、検査画像と比較しながらCT画像の診断ができる。さらに、自院の症例を追加登録して症例データベースをより充実させることも可能だ。
他に、診断した画像やレポートを登録し教育目的に使用できるティーチングファイル機能や、画像診断医の実用参考書籍を本システム用に電子化した電子医学書などを搭載。同社の放射線読影レポーティングシステムと組み合わせて使うことで、症例の管理などができる機能も備えた。
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