機械メーカーで3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回は2017年2月5〜8日に米国で開催された「SOLIDWORKS World 2017」の内容の一部を紹介する。
2016年11月に都内で開催された「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2016」で話のあった「3D CADとIoT」についてモヤモヤしてしまった私ですが、その後、ダッソー・システムズに訪問、モヤモヤも少し晴れました(関連記事:「3D CADとIoT」がイマイチ理解できないので、ダッソーに聞いてみた)。
そして2017年2月5〜8日、米国ロサンゼルスの中心部にあるロサンゼルスコンベンションセンターで開催された、ダッソー・システムズ・ソリッドワークス(Dassault Systemes SOLIDWORKS:以下、ソリッドワークス)の年次ユーザーイベント「SOLIDWORKS World 2017」(以下SWW2017)に参加してきました。私は今回で5回目の参加になります。
今回のSWW2017においても、やはりIoTが1つのテーマになっていました。
MONOistからは朴尚洙記者が参加し、カンファレンスでの内容、新製品動向などが記事になっています。同社の製品技術動向については、以下の記事をご覧ください。
私としては、3D CAD推進者であり、設計者でもあり、そしてCAE技術者でもあり、さらに1人のSOLIDWORKSユーザーとして、カンファレンスの内容を伝えます。
SWWのゼネラルセッションは、ソリッドワークス・ジャパン(日本法人)の取り計らいで、同時日本語通訳がありますが、それ以外については、全てネイティブな英語で聴講しなければなりません。私は英語の理解力について若干の不安もありますが、プレゼン資料を見ながらの講演なので、その範囲での理解であれば問題ありません。
さて今回のゼネラルセッションでは、「SOLIDWORKSはベストインクラスの製品であるだけでなく、素晴らしいエコシステムも重要な役割を果たしている。今回は4つのエコシステムを紹介したい」との話がありました。
「エコシステム(ecosystem)」というまた新しいキーワードの登場です。私は、「連携関係を示す言葉」であると理解しています。
今回は、以下4つのエコシステムが取り上げられていました。
それぞれのエコシステムの中で、SOLIDWORKS製品が連携し、これら全体で製品開発を進めていくという話です。4つ目のIoTで言えば、前回お話ししたように「IoTデバイスの設計と新たなサービス提供を可能とするシステムによってイノベーションを生むということ」として話をまとめられると考えながら、その話を聞いていました。
ここまでで言えば、前回の記事の内容とあまり変わらないというのが実感でした。
それぞれのエコシステムである、SOLIDWORKS製品として販売されていくだろうシステムについての紹介はありました。しかし中小企業に属する私にとって、また装置産業というコンシューマー製品の開発設計にしか関わっていない私にとっては、IoTというものが、まだまだ「雲の上の話」に聞こえました。
SWW2017には、ゼネラルセッションの他に、設計/解析/データ管理/技術トレンドについて講演するBreakout Sessionや、実際に製品をオペレーション体験教育を受けるHands-on Sessionがあります。3日間で174ものセッション(ゼネラルセッションを除く)が開催されます。
内容も多岐にわたり、そのレベルも初心者向けから上級者向けまで、講演者もユーザーからメーカーまでと非常に幅広いものです。日本で行われるカンファレンスではここまでの規模で行うことは不可能でしょう。
これらのセッションの選択については、SWWではスマホのアプリケーションで自分の聞きたい内容(キーワード)で探し出せて、とても便利です。SWW2017では、その選択肢にやはりIoTがありました。
今回のSWW2017では、7コマのIoTに関するBreakout Sessionがありました。私が参加したセッションのうち4つがIoTに関するものでした。
タイトルの通り、「IoT業界の動向」についての解説でした。IoTの説明、IoTの歴史的な話、IoTデバイスやIoTで得られるサービスの話、それらの動向について話をしていました。まさに概論という感じでした。
このセッションはクラウドプラットフォームの「Xively」(ザイブリー)の話が中心でした。Xivelyのデモンストレーションによって、「IoTで何ができるのか」という体験をするという講演でした。デモンストレーションを見ている限りではXivelyに複雑さを感じることはありませんでした。グラフィカルな設定ができるツールのようです。ここでもよく出てきた語句が、エコシステムでした。
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