余談ながら、音声のみを返すのはAmazon Echoの様な音声入出力デバイスが前提だからで、例えばスマートウォッチやタブレット端末、Fire TVのように画面を持つデバイスの場合には、同時に画像を返すなんてこともできる。
Alexa Skills Kitの紹介ページは、Tide Pooler(指定した都市の潮の満干を答えるSkill)を例にとって説明しているが、このページの下の方にはもう1つ、画像付きの返事(写真4)を作る例が紹介されている。
このカードは、以下のリスト1として記述される。
{ "version": "1.0", "response": { "outputSpeech": {"type":"PlainText","text":"Your Car-Fu car is on the way!"}, "card": { "type": "Standard", "title": "Ordering a Car", "text": "Your ride is on the way to 123 Main Street!\nEstimated cost for this ride: $25", "image": { "smallImageUrl": "https://carfu.com/resources/card-images/race-car-small.png", "largeImageUrl": "https://carfu.com/resources/card-images/race-car-large.png" } } } }
するとスマートウォッチは音声で「あなたが乗る予定のクルマ(おそらくタクシーとかUberとか、その類のクルマだろう)は現在123メインストリートを走行中です。費用は25ドルを予定しています」と「英語で」発声してくれる。その際にスマートウォッチの画面には、この乗るべきクルマの画像が出ているというわけだ。
さてこうなると、どんなSkillが用意されているのかで「何ができるか」が変わってくる。Echoを発表した当時は、このSkillがわずか13しかなかったのが、AVSとAmazon Skills Kitを開発者に公開した結果、2016年には1000以上のSkillが「Alexa Skills Store」に登録されているという※)。
※)原稿執筆時点(2017年2月上旬)で数えたら6148個の登録があった。ただし中には“null”になっているのもあり、そこそこ抹消されているものも見受けられるので、全体ではここまでの数は無いと思われる。
このSkillsを利用する(それこそ先ほど紹介したAlexa Skills Storeのページで、Skillを選んでそこで“Enable”を押すと利用できるようになる。もっとも当然有償のものもあるので、無条件に利用できるわけではない)ことで、手元のAlexa対応デバイスに新しい機能を追加できるという寸法だ。
もちろん、新規にSkillを作ることもできる。Skillsは現在、大別して3種類が用意されている。
一番分かりやすいのがSmart Home Skillsで、例えば照明のオン/オフとか輝度調整、温度の上げ下げといった家電の制御に向いたSkill Setで、ここに自身の製品向けのSkill adapterを追加するだけでよい。例えば自社のエアコンの細かい調整機能もAlexaから操作できるようにしたければ、この部分の追加コードをSkill Adapterとして記述し、登録すればよい。
Flash Briefing Skillsは、ユーザーが「Give me my flash briefing」とか「Tell me the news」などと言った時に、そのユーザーの好みにあったニュースなり情報なりを適時送り出す仕組みである。この場合開発者は、どんなニュースなり情報なりを、どんな風に送り出すかをカスタマイズできる。
最後がCustom Skillで、それこそピザのオーダーからゲームまで、好きな機能を好きなように追加することができる。実際にCES 2017で展示された、700ものAlexaデバイスの多くが、Custom Skillを自社で追加して、さまざまなサービスをAlexa経由で利用できるようにしている。
連載第23回で「Google Home」を紹介したが、Alexaは、これをGoogleやAppleに先駆けて実装し、それをDeployすることに成功した、と書いてしまっても問題は無いだろう。
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