日立産業制御ソリューションズは、鋳造シミュレーションシステム「ADSTEFAN Ver.2017」を発表した。解析精度や比較検証精度が向上し、ライセンス管理を活用することで解析時間の短縮にも貢献する。
日立産業制御ソリューションズは2017年1月31日、鋳造シミュレーションシステム「ADSTEFAN(アドステファン)Ver.2017」の国内販売を開始した。同年3月からインド、中国、東南アジア地域などでも3言語(日本語/英語/中国語)対応版を発売し、年間150ライセンスの販売を目指す。
ADSTEFANは、素形材の鋳造欠陥を事前に予測できる鋳造シミュレーションシステム。ブラックボックスである鋳型内への溶融金属の流入や凝固状態をシミュレーションし、その過程を3次元で表現する。これによって開発期間の短縮や品質向上が可能となり、コスト低減と省資源化につながるという。1999年の販売開始以来、ユーザー企業の要望に応じた機能拡充や性能改善を毎年実施し、改良版を提供してきた。
新バージョンでは、新しい数値解析アルゴリズムを採用し、曲面形状の鋳物や鋳型の境界面における伝熱状態の評価精度が向上している。そのため、混合要素の粗いメッシュでも高精度/短時間での温度解析が可能になった。
また、X線CT撮像データマッピングツールで比較検証精度も高まった。製品のX線CT撮像データと解析結果を重ね合わせて、鋳造過程で発生した空洞部や空気巻き込み部などを抽出し視覚化する。画像データから抽出した形状は、STLファイルとして出力できる。
さらにライセンス管理を活用することで、設計業務での解析時間短縮にも貢献する。従来は、4CPUライセンスを所有している場合、4CPU分の解析作業しかできなかったが、Ver.2017からは4台のPCでそれぞれ4つのCPUを同時に使用できるため、4CPUライセンスで最大16CPUライセンス分の解析が可能になった。
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