IoTの命運は中小製造業の手に、チャンスの前髪をつかめるか : MONOist 2017年展望 (2/2 ページ)
中小企業がIoT化に踏み切れない理由として、企業規模として財務力に制約がある点や、具体的にIoTで何をやるべきなのか分からない点、これらを実現するのに必要な人材がいないという点などがある。これらを具体的に支援しようという取り組みも広がっている。
経済産業省およびロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は「中堅・中小製造業向けIoTツール募集イベント」により106件のツールを認定し中小企業向けの「スマートものづくり応援ツール」として展開することを発表した。これは中小製造業でもより簡単に、低コストでIoTが活用できるようなツールを、中小製造業が選定手順にも加わって選んだもの。財務力やIT知見などを備えていない中小製造業で利用できるように、既存のアプリケーションやセンサーモジュールなどの組み合わせが目立っている点が特徴である。
「スマートものづくり応援ツール(PDF)」(クリックでWebサイトへ)出典:RRI
さらに、中小製造業のIoT活用事例なども募集。身近な中小製造業の身の丈に合った取り組みを紹介することで、中小製造業でも取り組めるIoTの形を訴求する。対象となった事例は、RRIのWebサイトでの「ユースケースオンラインマッピング」に掲載し、国内外への発信を行う他、経産省が発行を予定している「IoT活用事例集」(仮称)や、毎年発刊している「ものづくり白書」への掲載する計画だ※) 。
※)関連記事:「既にそれ、十分にIoTですよ」、RRIが中堅中小製造業のIoT事例を募集
ロボット革命イニシアティブ協議会が公開している事例の「オンラインマッピング(β版)」(クリックでWebサイトへ)出典:ロボット革命イニシアティブ協議会
ドイツのインダストリー4.0と並び、IoTを推進する組織として注目を集めるインダストリアルインターネットコンソーシアム(以下IIC)のエグゼクティブディレクターのリチャード・マーク・ソーレイ(Richard Mark Soley)氏は「IIC全体でいえば、参加企業の半分が大企業、半分が中小企業という構成となっている。しかし、日本からの参加企業はほとんどが大企業である。こうした状況は非常に残念だ。IoTは中小企業にこそ大きなチャンスがあると考えている。革新はいつでもベンチャー企業や中小企業から生まれるからだ」とコメントを述べていた。
現在の日本政府による支援の取り組みは中小製造業にとってもチャンスであるといえる。政府や大手製造業などの支援を活用しながら、IoTを自社の生産革新などに取り込むことができるためだ。IoT活用の成功事例はほとんどが「現場の問題解決」を起点としている。その意味では、中小製造業の課題解決は中小製造業にしかできず、中小製造業独自の成功の形が存在するはずだ。2017年はこうした先進的な中小製造業のIoT活用の取り組みが世界に発信される年となることを期待したい。
⇒「MONOist 2017年展望」記事はこちら
「既にそれ、十分にIoTですよ」、RRIが中堅中小製造業のIoT事例を募集
経産省などが主導するロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は、課題となっている中堅中小製造業のIoT活用を振興するため、先進取り組み事例を募集する。中堅中小製造業の身の丈にあった事例を公開することで、現実的なIoT活用の普及を目指す。
中小製造業がIoTをバリバリ使いこなせるツール、106件が選定
経済産業省およびロボット革命イニシアティブ協議会は2016年7月27〜8月26日にかけて募集していた「中堅・中小製造業向けIoTツール募集イベント」の結果を発表。106件のツールを認定し「スマートものづくり応援ツール」として展開を進めていく。
第4次産業革命は大企業だけがもうかるんじゃないの?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起こることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第5回では、第4次産業革命で“置いてきぼり”になるのではないかと懸念されている中小企業の取り組みについて紹介したいと思います。
「DMG森精機は中小製造業へのIoTプロバイダーになる」森社長
DMG森精機はJIMTOF2016の会場で記者会見を行い、IoT活用が難しい中小製造業に向けて、大手のITベンダーなどが提供するIoT関連のソリューションを同社が一時的にまとめ、中小製造業に受け入れられる形で提供する考えがあることを示した。
「ソニーも最初は町工場だった」IoT革新は中小製造業が起こす
米国大手企業が中心となって設立し、現在では世界各国の企業が200社以上参加するインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)。産業用IoT(IIoT)の社会実装を目指す同グループは何を目指し、どういう取り組みを進めているのだろうか。エグゼクティブディレクターであるリチャード・ソーレイ氏に話を聞いた。
第4次産業革命、2030年に日本の製造業が“あるべき姿”とは?
第4次産業革命にどう立ち向かうべきか。安倍政権における「ロボット新戦略」の核として取り組みを進める「ロボット革命イニシアティブ協議会」で、製造業のビジネス革新をテーマに取り組む「IoTによる製造ビジネス変革WG」が中間とりまとめを公表。日本の製造業の強みである「人」や「現場力」を生かしつつIoTなどを取り込む上での論点をまとめた。
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