東京工科大学は、腕時計サイズながら、精度の高いモーションキャプチャーシステムの開発に成功した。また、同システムを医療分野などで活用するための実証実験を開始した。
東京工科大学は2016年12月9日、腕時計サイズながら、精度の高いモーションキャプチャーシステムを開発したと発表した。同研究は、同大学コンピュータサイエンス学部の松下宗一郎教授らの研究チームが行った。
同研究では、加速度と角速度の計測をベースとしたモーションキャプチャーシステムにおいて、角速度センサーの姿勢角を9個のベクトルで表すことで基準位置からの姿勢角変動を少ない計算量で求める方法を開発した。例えば手首の3次元姿勢角を、周波数400Hz、絶対誤差4度/分という高い精度でトラッキングできる。
同手法を用いることで、消費電力の少ない超小型マイクロコンピュータでの処理が可能になった。センサー出力特性の時間・温度変動も、アプリケーションへの影響を最小限度に抑えている。地磁気センサーや角速度センサーなどによる姿勢補正を必要としないため、小型の充電池で4〜8時間程度の使用が可能だ。また、従来のシステムでは、複数個のセンサーを組み合わせて精度を維持していたが、同システムはデバイス単体でも利用できる。
これらの機能により、サイズは腕時計程度、総重量は約60g以下という小型軽量の試作デバイスが完成した。一般に流通している部品のみを使用しており、原価を数千円程度に抑えることができる。
研究チームでは、同システムの1次救命措置における胸骨圧迫の正確なモニタリング手法への適用や、内視鏡下手術での縫合操作の技量モニタリングなどに関する開発や実験を進めている。今後、在宅医療や介護のサービス、医療以外の分野への応用も検証していく。
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