熱流体解析ソフトウェアで知られる国産CFDベンダー ソフトウェアクレイドルが米MSC Softwareに買収された。MSCがクレイドルの全株式を取得し、MSC傘下のグループ企業となった。
エムエスシーソフトウェアとソフトウェアクレイドルは2016年12月20日、米MSC Software(以下MSC)によるソフトウェアクレイドル(以下クレイドル)の株式買収について発表した。MSCは同年12月15日にクレイドルの全株式を取得し、MSC傘下のグループ企業とした。買収額は非公表。
「MSCは、(M&Aについて)それぞれの強みを理解し、グループに迎え、成功裏にシナジー効果を生み出す戦略を取っている。近年グループに迎えた企業(FFT:Free Field Technologies、e-Xstream engineering、simufact engineering)は全てが大きく成長している。クレイドルも上記3社と同様、MSC Software 傘下のグループ会社として存続し、これからも独立した経営、営業マーケティング、製品技術開発を進めていく」(エムエスシーソフトウェア)。
2017年1月よりは、両社の営業組織の強みを生かしたグローバルマーケットでクレイドルの製品ラインのマーケティングおよび販売を進める。国内では、従来通りクレイドルが中心となって販売、サポート、サービスを継続する。さらにエムエスシーソフトウェア(MSC日本法人)も協力して販売強化していく方針だ。
クレイドルのCFDソフトウェア「scFLOW」は、CAEプラットフォーム「MSC Apex」でサポートする計画だ。またクレイドルの次世代製品については、最終的にMSC Apex環境で動作するように統合する予定だという。
時期は未定だが、トークンベースのライセンスシステム「MSC One」でもクレイドル製品をサポートする予定だとしている。
「クレイドルの技術によってMSCは、流体構造連成(SCRYU/Tetra とMSC Nastran)、空力音響(SCRYU/Tetra とActran)、および複雑なモーションを伴うコンポートメント(SCRYU/TetraとAdams)などの連成解析により、さらに複雑なシミュレーションワークフローを提供することが可能になる」(エムエスシーソフトウェア)。
クレイドルはCFDソフトウェアの「STREAM」と「SCRYU/Tetra」、電子機器の放熱設計用ソフトウェア「熱設計PAC」などを開発・販売してきた国産ソフトウェアベンダー。販売拠点は日本国内にとどまらず、アメリカ、フランス、インド、台湾とグローバルに展開してきた。大田区内の製造業が中心となり活動している「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクトの参加企業としても知られている。
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