エムエスシーソフトウェアがリリースした新製品「MSC Apex Fossa」の新機能で、特に注目したいのが「周波数応答におけるパラメータスタディ」だ。従来のツールでは直感的に分かりづらかった周波数応答の結果データを、1画面にまとめて、3Dデータやグラフを交えて分かりやすく表現することが可能だ。パラメータの修正はリアルタイムで結果に反映できる。
エムエスシーソフトウェアは2016年10月下旬から出荷開始した新製品「MSC Apex」(Apex)の第6世代「Fossa」の機能の一部と今後のリリース予定を明かした。同製品では新たに、構造/モーダル/材料減衰、マルチステップ解析、ポイントセンサー、XY-プロット、周波数応答結果出力をサポートする。
新機能の中で特に注目したいのが「周波数応答におけるパラメータスタディ」だ。周波数応答解析に関するデータを全て1画面に表示し、パラメータ変更をリアルタイムに反映させながらデータを確認することが可能だ。3D形状やグラフを確認しながら検証できるため、従来のツールでは直感的に分かりづらかった周波数応答の結果データをひとまとめで分かりやすく表現できる。
細やかなところでは、問題のあるメッシュを数を表示して、修正されていくごとにそれが減っていくようにする機能も追加している他、ダイレクトモデリングの機能や、接着やメッシュの機能について改善を図っている。
なお2017年春中には「Grizzly」(ハイイログマ)を発表し座屈やランダム応答に対応、その次のバージョン「Harris Hawk」(モモアカノスリ:リリース時期は未確定)では「Mildly Nonlinear」(ゆるやかな非線形)、「Linear Dynamics Transient」(遷移状態の線形動的解析)に対応する予定だとしている。
Apexは、同社がこれまで所有してきた複数のソルバーの技術を1パッケージに統合している。また「コンピューテショナルパーツ」という独特な概念を採用している。その技術により、剛性、重量、振動減衰など数学的挙動表現が3Dモデルの部品やサブアセンブリごとに独立して保持されており、いつでも計算可能な状態をキープしている。その機能により、境界条件設定や計算の後に形状変更が発生しても、それに応じて自動的にシステム側が条件を修正してくれる。
Apexのダイレクトモデリング機能で修正を施してもメッシュをリアルタイムで修正する。
同製品は「MSC Nastran」など従来MSC製品とは大きく異なるシステムではあるが、旧来からのユーザーも移行しやすいように配慮しているという。
Apexのライセンス価格は、「MSC Apex Modeler」が年間リースで100万円(ネットワークライセンス)、「MSC Apex Structures」が年間リースで60万(ネットワークライセンス)。買取の場合は、Modelerが250万、Structuresが150万。
Apexの製品名は食物連鎖の上位に君臨する動物の名前を付けてきた。「Apex」という名称が、「Apex Predator」(頂点捕食者)に由来しているところによる。
これまで、「Arctic Wolf」(北極オオカミ)「Black Marlin」(カジキ)「Diamond Python」(ニシキヘビの一種)ときて、今回は「Fossa」。フォッサはマダガスカル諸島に生息する肉食動物で、かわいらしい外見にもかかわらずどう猛な性質をしており、キツネザルなどを捕食する。これまでの名称の頭文字を見ていくと、A、B、C……とアルファベット順になっている。先述の、リリース予定の製品名にも注目してみよう。
日本国内での知名度があまり高くないフォッサだが、国内では東京の上野動物園で見ることが可能だ。
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