エムエスシーソフトウェアは次世代CAEプラットフォームの最新版「MSC Apex Cheetah」を発表した。今回は新しい構造解析ツール「MSC Apex Structures」を追加した。
エムエスシーソフトウェア(MSC)は2015年3月26日に次世代CAEプラットフォームの最新版「MSC Apex Cheetah」を発表した。
「MSC Apex」は従来の3次元モデルをありきとした製品設計から、設計初期段階のCAE(シミュレーション)を中核とした設計へとシフトさせるためのシステムである。
MSC Apexは日本語、英語、中国語の3カ国語が使用可能だ。UIも、機能の階層をなるべく浅くかつ数も少なくし、選択した形状に関連する機能だけを表示するなど、分かりやすく直感的な使い勝手にしている(関連記事:MSC、新解析プラットフォームを正式発表、シミュレーションベース設計ツールとして今後も順次拡張予定)。
これまでの「Arctic Wolf」(北極オオカミ)「Black Marlin」(カジキ)といったバージョンではCAE向けダイレクトモデラー「MSC Apex Modeler」(Apex Modeler)を提供してきたが、「Cheetah」(チーター)からは新しい構造解析ツール「MSC Apex Structures」(Apex Structures)が加わる。Apex StructureはApex Modelerのアドオン製品という位置付けだ。
Apex Structuresは解析条件定義とポスト処理UI、統合ソルバから構成される。プリ・ソルバ・ポストが1つに統合されているため、解析モデル作成や修正の都度で、ソルバによりメッシュ、材料、要素特性、荷重拘束条件、相互作用、解析条件設定、解析対象などが「正常に解析できるかどうか」逐次評価される仕組みになっている。
また今回特徴的なのが「コンピューテショナルパーツ」という概念だ。剛性、重量、振動減衰など数学的挙動表現が3次元モデルのパーツやサブアセンブリごとに独立して保持されており、いつでも計算可能な状態であることを指す。
Apex Structuresでは部品形状や部品構成を変えたとしても、変更した部位に応じて、パーツやサブアセンブリ、アセンブリのメッシュや材料設定、接着状態、荷重拘束条件などが必要な部分のみ自動で再計算・再構築される(再構築フレームワーク)。
また構造解析ソルバ「MSC Nastran」のバルクデータファイル(BDF)の読み込みをサポートし、形状に関連付いていないメッシュの管理、属性定義、アセンブリ、解析実行もできる。
以降のApexは2015年7月に「Diamond Python」(ニシキヘビの一種)、2015年中に「Eagle」(ワシ)といった新版をリリースし、Apex ModelerやApex Structuresを強化しながら解析システムとして完成させていくという。EagleではMSC Nastranの動解析も追加する予定だ。
2013年のMSCユーザー会でこの製品のプロジェクトが発表された当時、「Predator」(捕食者)というプロジェクトネームだった。「Apex」は「Apex Predator」(頂点捕食者)から取られ、バージョンネームも食物連鎖の上位捕食者である生物になぞらえているとのことだ。つまり、捕食した生物(つまり買収した企業や技術)を消化し、それが自身の血となり肉となり……、頂点捕食者の強靭な身体を作り上げる、ということなのか?
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