欧米自動車メーカー6社が協力、欧州で急速充電器を数千カ所に設置へ:電気自動車
欧米自動車メーカー6社は、欧州で電気自動車の充電インフラを整備する合弁事業を開始する。普通充電と急速充電を1つのコネクタで行える「Combined Charging System(コンボ、CCSとも)」を高出力化し、欧州全域に増やしていく。
欧米自動車メーカー6社は2016年11月29日(現地時間)、欧州で電気自動車の充電インフラを整備する合弁事業を開始すると発表した。普通充電と急速充電を1つのコネクタで行える「Combined Charging System(コンボ、CCSとも)」の高出力化したシステムを欧州400カ所に設置する。2017年から着工し、2020年には数千カ所に拡大する計画だ。
自動車メーカー6社はこの合弁事業で多額の投資を計画している。他の自動車メーカーの参画も歓迎だとしている。
コンボ方式の充電コネクター(クリックして拡大) 出典:Daimler
BMW、Daimler、Ford Motor、Volkswagen、Audi、Porscheは、欧州で電気自動車の長距離ドライブが可能な環境を整備することを目指す。これまで、充電インフラを利用しながら電気自動車が長距離を走行するのは不可能だったとしている。欧州全域で、高速道路や幹線道路を中心に充電インフラを配置する。
この合弁事業では、コンボ方式の急速充電の出力を、現在の150kWから最大350kWまで高出力化して充電時間を短縮することも目標に掲げている。現在の充電時間は最短15〜20分だ。高出力化と、数千カ所に上る充電インフラの整備により、エンジン搭載車両並みの利便性を実現する。
一方、日本が主導して規格化したCHAdeMO(チャデモ)方式の場合、急速充電の出力は50kWで、30分で80%程度充電することができる。充電器の高出力化について、CHAdeMO協議会は2020年までに150kW、2020年以降に350kWを目指している。
コンボ方式は、2012年にGeneral Motors、Chryslerと今回の合弁事業を発表した6社が規格策定や市場導入に携わった。チャデモ方式が急速充電のみの規格で、急速充電コネクターとは別に普通充電コネクターが必要になるのに対し、コンボ方式は普通充電と急速充電のコネクターを1つに統合しており、部品のコスト低減が図れるメリットがある。
- 日本発のEV用急速充電規格「チャデモ」はなぜ国際標準になれたのか
2014年4月開催のIEC(国際電気標準会議)で、電気自動車(EV)用急速充電規格の国際標準として、日本発のCHAdeMO(チャデモ)がついに承認された。チャデモはなぜ国際標準になり得たのか。そのプロセスはどうだったのか。関係者に聞いた。
- EV用急速充電の規格争い、チャデモに負けはない
2012年の春から秋にかけて、「チャデモvs.コンボ」という電気自動車(EV)用急速充電の規格争いに関する報道が相次いだ。その際の論調は、チャデモ方式が、日本の携帯電話と同様にガラパゴス化するというものが大勢を占めていた。あれから1年以上が経過したが、チャデモとコンボ、両方式の現状はどうなっているのだろうか。
- CHAdeMO対抗の充電規格を米独8社が発表、1個のコネクタで普通/急速充電が可能に
GM、フォード、クライスラー、BMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェといった米国とドイツの大手自動車メーカー8社が、電気自動車(EV)の充電システムの新規格「Combined Charging System」を発表した。国内自動車メーカーが推進するEV用急速充電システム向けのCHAdeMO(チャデモ)規格に対抗するもので、1個の充電コネクタで普通充電と急速充電の両方を行えることを特徴とする。
- 素人ベンチャーが1年半で電気自動車を作るには?
2014年に15年間勤めた経済産業省を退官した伊藤慎介氏。元トヨタ自動車のデザイナーとともにベンチャー企業「rimOnO(リモノ)」を立ち上げ、1年半で超小型モビリティーの試作車両の完成にこぎつけた。「ここまで来られたのは日本のモノづくりの裾野の広さのおかげ」(伊藤氏)と話す。
- 電力平準化や課金を意識して策定された欧州のEV用充電規格「コンボ」
欧州や北米の自動車メーカーが中心になって規格策定を進めている、普通充電と急速充電を1つのコネクタで行える「Combined Charging System(コンボ)」。欧州向けコンボでは、電気自動車と充電器の間をつなぐ通信プロトコルとしてISO/IEC 15118を使用している。本稿では、このISO/IEC 15118について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.