システムの構成部品の小型軽量化を図ることにより、フルハイブリッドシステム搭載モデルの車両重量は990kgに抑えた。2WD(前輪駆動)のS-エネチャージ搭載モデルからの増加分は40kg、2WDのガソリンエンジンモデルと比較すると60kg増となる。また、システムの小型軽量化でソリオの特徴である荷室空間の広さも維持した。
駆動用のリチウムイオンバッテリーは、ハイブリッド車としては低電圧の100Vだ。電圧を落とし、バッテリーパックを小型化することで、荷室の床下に収まるようにした。MGUもハイブリッド車としてはパワーが小さく、最高出力10kW(3185〜8000rpm)/最大トルク30Nm(1000〜3185rpm)となっている。ISGは最高出力2.3kW(1000rpm)/最大トルク50Nm(100rpm)。
また、DC-DCコンバーターを使用しないのも同社のシステムの特徴だ。フルハイブリッドシステムには、100Vの駆動用リチウムイオンバッテリー、12Vの鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーを搭載している。電力の系統を分けることで、DC-DCコンバーターが不要なシステムとした。
100Vの電力を使うのは、駆動用バッテリーとインバーターで構成するパワーパックと、MGUの間に限定。駆動用バッテリーに充電するのは巡航中や減速時にMGUが発電した分のみ、充電した電力はMGUの駆動にのみ使用し、12Vのバッテリーには振り向けない。12Vのリチウムイオン電池はISGの駆動や充電に使用する。
今回搭載するフルハイブリッドシステムは、今後の製品計画は未定としているが、S-エネチャージ搭載モデルであれば展開できるという。
S-エネチャージとフルハイブリッドシステムのどちらにするか。フルハイブリッドシステム搭載モデルは、2WDしか設定がなく、駆動用バッテリーを配置したためサブトランクがなくなっているが、S-エネチャージではできないEV走行が可能だ。四輪駆動(4WD)を重視したり、サブトランクが必要な場合はS-エネチャージ搭載モデルを選択することになる。「試乗の上、必要な方を選んでいただきたい」(スズキ)としている。
トヨタ自動車とダイハツ工業、富士重工業は、ソリオの対抗馬となる小型ハイトワゴン「トール/タンク/ルーミー/ジャスティ」を発売したばかり。新開発の排気量1.0lのターボエンジンによる“余裕のある走り”でソリオとの差別化を図る。これに対し、スズキはフルハイブリッドシステムで加速感のある力強い走りと燃費性能を両立したという。小型ハイトワゴン対決に注目が集まりそうだ。
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