今後の製造業の発展に向けて必要不可欠とみられているIoT(モノのインターネット)。本連載では、IoTの現在地を確認するとともに、産業別のIoT活用の方向性を提示していく。第1回は、IoTの基本コンセプトについて整理するとともに、代表的な活用用途である「スマートシティ」と「スマート工場」の海外と日本の状況を紹介する。
「IoT(Internet of Things、モノのインターネット)」という言葉が一般に浸透し、いろいろな場所で目にする機会が増えた。英国調査会社のIHS Markit Technologyでは,
IoT機器や関連するクラウドサービス、インフラなどの市場規模やシェアなどのデータをとりまとめており、それらの日々の更新から、新たに立ち上がった市場などについて知る機会も多い。そこで、連載「IHS Industrial IoT Insight」の第1回では、今やバズワードとすら聞こえる「IoT」の本質を確認するとともに、これによって今後社会がどう変わるかについてあらためて整理してみたい。
IoTと広くいわれているが、いろいろなものにセンサーが搭載され、インターネットにつながることでこれらが相互に通信できるようになること、と筆者は一次的に解釈している。図1にある通り、IoT化によって機器にセンサーがついてインターネットにつながり、そこからデータが取得され、それらをクラウド(あるいはエッジ/フォグ)を介して分析/制御などに活用できるようになる。つまり、IoTの価値とは、モノから吸い上げたデータを、家や街、インフラ、クルマなどのモビリティ、工場や店舗などの経済活動に活用できることと考えられる。
また、IoTの仕組みを可能にしたのは
が大きい。これらはいずれも今後IoT市場の成長要件としても必要不可欠なため、筆者はIoTのレイヤー構造を図2のように考えている。つまり、従来型のITのレイヤー以上に、IoTは単独の企業や業界だけで構築できるものではなく、業界が横断的に動いて進めることが重要になることが予想される。
ここからは、図1で示した4つ代表的なIoT活用用途のうち、スマートシティとスマート工場について、海外と日本の取り組みの相違を説明する。
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