東京電力パワーグリッド 経営企画室 室長の石川文彦氏は「これまで東京電力グループでは、スマートメーターを使ったHEMSサービスを提供してきたが、これは顧客に直接サービスを提供するB2Cのビジネスモデルだ。今回のIoTプラットフォームは、われわれが顧客の住宅に設置した電力センサーから収集/蓄積/加工した情報を基に、サービス事業者からサービスを提供してもらうことを目指すもので、ビジネスモデルはB2B2Cになる」と語る。
従来のHEMSサービスと大きく異なるのは、設置するセンサーとして専用の電力センサーだけで済む点だ。この専用の電力センサーには、電力消費の変化から、その住宅で動作している家電製品の種別を判別することができる「ディスアグリゲーション技術」が組み込まれている。従来のHEMSサービスでは、家電製品の動作状態を知るにはそれぞれセンサーを組み込む必要があったが、それを1個の電力センサーでカバーできるというわけだ。
この電力センサーは「分電盤内に設置できるレベルのコンパクトさ」(石川氏)だという。これに温度や湿度、照度などを検知する環境センサーを組み合わせて、住宅の状態をビッグデータとして収集する仕組みとなっている。
東京電力パワーグリッドは、この電力センサーなどの情報から成るビッグデータのプラットフォーマーとして、各住宅にさまざまなサービスを提供したい事業者と連携していくことを想定している。石川氏は「既に幾つかの事業者と検討している段階」と述べている。
3社で実証試験を行うIoTプラットフォームで想定するサービスは現時点で3つある。1つ目は、セキュリティ企業などが既に提供している「見守りサービス」。2つ目は「家電製品サポートサービス」。3つ目は「電気使用状況見える化サービス」だ。
なお、日立製作所は、汎用のIoTプラットフォームとして「Lumada」の展開を拡大する方針を示している(関連記事:製造業に押し寄せるIoT活用の波、日立が第4次産業革命で抱える強みとは)。今回のIoTプラットフォームについては「日立が有するIoTの要素技術という点でLumadaと共通する面はあるが、Lumadaそのものを採用しているわけではない」(日立製作所 IoT推進本部 担当本部長の福岡昇平氏)という。
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