「ウォークスルー型爆発物探知装置」のポイントは、爆発物から出る微粒子を検出するということにある。爆発物は常にさまざまな微粒子を放出し続けており、その近くにいる人の手や服や髪などに付着する。これがさまざまなものに移るため、爆発物に触れた人は、あちこちにこうした微粒子を付けている。
そこで「ウォークスルー型爆発物探知装置」では、IDカードなどで通常の認識を行う際に、こうした微粒子を空気で吹き飛ばして濃縮する仕組みを考案した。濃縮した微粒子はコロナ放電によりイオン化し、そのイオンの質量によって爆発物の検知を行う。


IDカードを挿入すると上下から空気を噴射して微粒子をカード表面から吹き飛ばして回収(左)し、集めた微粒子を空気の渦によって濃縮(中央)、コロナ放電によりイオン化しリニアイオントラップ式質量分析により爆発物を特定する(右)という仕組みである(クリックで拡大)出典:日立製作所花見氏は「手を洗うと微粒子も落ちるが、基本的にはたくさん付着しているものなので、かなりの精度で検知することが可能となる、これにより従来は運用面で難しかったトレース検査方式の全数検査が可能となり、施設の安全性を確保することができる」と述べている。
現状では通常のゲートのイメージで設計を行っているが、微粒子の探知機能の部分と、IDカード認識の部分は切り分けてカスタマイズすることが可能。日立製作所以外の個人認証システムを組み込むことも可能だという。さらに、単体の機器としての導入も可能な一方で、監視カメラシステムや入退室管理システムなどのバックヤードのITシステムと組み合わせたシステム構築なども可能だという。
価格については個別見積もりとしているが「既に重要インフラ施設などとの話し合いなどは進めている。数年間で100〜200台の販売を目指す。また、海外への展開も検討していく」と花見氏は目標について語っている。
同システムは今後、日立製作所が提供するIoT基盤の「Lumada」の基本性能群の1つとして組み込み、組み合わせた提案などを進めていくとしている。
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