E-HARBORの目玉は、1階にある自動車開発試験設備「E-LAB」である。最高水準の3つの実験室は、全ての試験設備を体験できるショールームであり、同社が10年あまりをかけて培ってきた、グローバルスタンダードの計測器や設備、実験室のノウハウが詰まっている。世界5か国8拠点(日本、ドイツ、米国、英国、中国)のラボをつなぎ、グローバルな開発も可能。見学や試用に訪れた自動車メーカーの方にも認めていただける設備だ。
E-HARBORは生産プロセス改革の拠点ともなっている。研究開発を主体に育ってきた同社は、加工や組み立て、パーツの供給など実際のモノづくりの多くを協力会社が担っており、WIN-WINの関係を構築している。しかし、加工や組立、試験などの間には、運搬と停滞があり、作業が淀んでしまう。「HORIBA STREAM Production」と名付けられた取り組みは、その淀みを削減することで、リードタイム1/3、生産性2倍を目指すというもので、協力会社にも同じフロアに集まってもらい、一緒にプロセスの改革に取り組んでいる。「協力会社のなかにも淀みがあったと思うし、遠慮して言えずに苦労していたこともあるだろう。協力会社と一緒に改革することがポイントで、改善できたらその仕組みごと持って帰って、自社の改善にも役立ててもらおうと考えている」と西村氏。協力会社とのWIN-WINの関係を強めながら、モノづくりの研究開発拠点をも目指す。
堀場製作所の社是は、「おもしろおかしく」。やりがいを持って、自らの力で「おもしろおかしく」仕事をすることで、健全で実り多い人生にしてほしいという願いと、「おもしろおかしく」仕事をすることで、発想力や想像力が増し、唯一無二のものが生まれるという思いが込められている。初代社長は自らの技術力で起業し、2代目の社長は堀場製作所の顔となる商品を開発し、3代目の社長はグローバル展開で成長させた。おもしろおかしく仕事をすることを、社長自らが体現しているのかもしれない。
京都弁の「ほんまもん」には、「本物」という意味に加えて、他にないもの、ドキュメントに残せないようなノウハウも含めた神髄のようなニュアンスが含まれているそうだ。堀場製作所は、京都発「ほんまもん」の製品を世界中に届ける、大真面目におもしろおかしく仕事をする企業だった。
杉本恭子(すぎもと きょうこ)
東京都大田区出身。
短大で幼児教育を学んだ後、人形劇団付属の養成所に入所。「表現する」「伝える」「構成する」ことを学ぶ。その後、コンピュータソフトウェアのプログラマ、テクニカルサポートを経て、外資系企業のマーケティング部に在籍。退職後、フリーランスとして、中小企業のマーケティング支援や業務プロセス改善支援に従事。現在、マーケティングや支援活動の経験を生かして、インタビュー、ライティング、企画などを中心に活動。
(取材協力:マイナビ)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.