ボーダフォンが世界17カ国、9業界の約1100人の企業経営幹部を対象にIoTの普及を調査した「ボーダフォンIoT普及状況調査レポート2016」をまとめた。既にIoTは「導入するかどうか」を超え「どのように導入するべきか」のフェーズに突入しているという。
ボーダフォン・グローバル・エンタープライズ・ジャパンは全世界の法人におけるIoTの普及状況を調査した「ボーダフォンIoT普及状況調査レポート2016」を公開した。日本語版は同社Webサイトよりダウンロードできる。
世界17カ国、9業界のシニアマネジャークラス1096人を対象に行われたこの調査では、63%が「2017年度中にIoTを利用した業務向けプロジェクトを開始したい」と回答し、既にIoTを業務へ導入した企業の過半数で「顕著なROI(投資対効果)を得られた」と回答しており、ビジネス的な側面からもIoTの導入と活用の進んでいる様子が明らかとなった。
この調査は2013年から行われており、2015年版までは「M2M普及状況調査レポート」として公開されていたが、関連する市場の広がりを受け、ボーダフォンでは今回より「IoT普及状況調査」と改めた。
調査におけるIoTの定義は「クルマやビル、機械などをインターネットに接続することで、人間やアプリケーションとコミュニケーションをインテリジェントな資産に変換するもの」とされており、いわゆるM2Mもその範囲に含む。対象とした9業界は、小売り、製造、エネルギーおよびユーティリティー、ヘルスケア、運輸及び流通、家電、自動車、工業、公共部門である。
調査報告書によればIoT導入に取締役会が関与している企業の86%が「IoTは不可欠だ」と回答しているが、日本においては71%とその割合が低い。ただ、これは重要視していないということではなく、同社 IoT ジャパンカントリーマネージャーの阿久津茂郎氏が「日本企業はもう少し慎重であるように感じる」と述べるよう、投資に対する慎重な姿勢の表れであるようだ。
取り組む姿勢に違いはあれどIoTの導入と活用は世界的に進んでおり、導入先としては陳列棚の欠品感知といったような「既存ビジネスの自動化」(64%)はもちろんのこと、「大規模な業務革新サポート」(48%)や「他社との接続」(29%)など、新ビジネスの立ち上げや取得したデータを自社で囲い込まずに活用することも始まっている。何らかの形でのIoT導入と活用は業種業界を問わずに進んでおり、その流れはこれからも加速していくと予想される。
「特に産業機器のIoT化は世界的に進んでおり、“つなぐ”ことへの期待感は高いと肌で感じている。また、自動車の走行データを元にした自動車保険など、業種業界を超えてつながることは大きなビジネスを生む。これは通信会社にとって大きなチャレンジであり、チャンスであると考えている」(阿久津氏)
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