製造業でも経営や業務のデータドリブンシフトの重要性が叫ばれるようになって久しい。だが変革の推進は容易ではない。本稿では独自の「概念データモデル」をベースに、「データを中心に据えた改革」に必要な要素を検討していく。
これまで第1回と第2回で概念データモデルが必要な理由と実際に役立つ活用ケースを紹介してきた。第3回では、概念データモデルを作成し、維持管理する方法について紹介する。
これまでお伝えした通り、本連載で紹介している「概念データモデル」は一般的な理解とは異なり、経営者の思いや実現したい将来像の観点を盛り込んで、バリューチェーン全体でモデルを作成するものだ。その点を理解した上で、作成、維持管理について考えてほしい。
⇒連載「真に『データ中心の製造DX』を実現するには」のバックナンバーはこちら
まず、概念データモデルを作成する際に留意すべきことを(1)体制構築と(2)作成手順の2つに分けて述べる。
概念データモデルは、業務要件を明確にする前にバリューチェーン全体のデータモデルを作成し、これを憲法として個々の改革を進めることになる。そこで、バリューチェーン全体を理解した人材が必要になるわけだが、自社の人材を見渡したときに、バリューチェーン全体のデータモデルを語れる人材はどれほどいるだろうか? 多くの企業ではそのような人材は少なく、業務領域ごとにエキスパートがいるのではないかと思われる。
そのため、複数の部署から人材を募ることになる。ここでは、エキスパートによる業務領域ごとの検討と、企業の将来像を考えて全業務機能に横串を通す検討の両方を推進することが肝要だ。
体制構築としては、横串を通すリーダーはデータモデル構築の専任となって活動することが多いが、エキスパートは現状業務との兼ね合いで専任化できないことが多い。そのため、エキスパートの負担増加に伴う業務への影響を最小化させるべく、短期プロジェクトとして集中的に推進することがほとんどだ。
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