大阪大学は、冷却シートを額に貼るような感覚で容易に装着することができ、リアルタイムに脳状態を可視化できる、パッチ式脳波センサーを開発したと発表した。大型の医療機器と同等の計測精度で睡眠中の脳波をワイヤレス計測できる。
大阪大学は2016年8月17日、冷却シートを額に貼るような感覚で容易に装着することができ、リアルタイムに脳状態を可視化できる、パッチ式脳波センサーを開発したと発表した。
これまでの医療用脳波計は、専門技師による有線電極の装着が必要なため、家庭で装着するのは困難で、装着者の負担も大きかった。また、既存のウェアラブル脳波計も、頭皮に電極を当てる櫛(くし)形電極が必要で、長時間の装着には耐えられなかった。さらに、どちらも電線があるため、寝返りなどの行動が制限され、心地の良い睡眠を得ながら脳波を計測したり、子どもの脳波を手軽に計測したりするのが極めて困難だという課題があった。
今回開発されたパッチ式脳波センサーは、手のひらサイズで、額に貼り付けて睡眠を取るだけで、大型の医療機器と同じ計測精度で睡眠中の脳波をワイヤレス計測できる。具体的には、深い睡眠時に見られる2Hz以下の遅い脳波(徐波)も検出され、負担が少なく測定できる同センサーの有効性が示された。
同センサーを用いることで、毎日手軽に、家庭内で脳の活動や睡眠の質を計ることができる。それにより、心地よい眠りを得られる環境を整えたり、生活習慣病や認知症を予防したりといった、睡眠と脳との関係についての研究を一層深めることにつながるという。
さらに、要介護者の見守り、運転者の急な不調に対応した車の自動・手動運転の切り替え、子どもの集中力から好きな科目の同定、言葉の話せない赤ちゃんの好みのおむつ開発など、広範な応用範囲が期待できるとしている。
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