米国の調査会社Gartnerは、「先進技術におけるハイプサイクル2016年版」を発表した。調査結果によると機械学習などが「過度の期待のピーク期」を迎えていることを明らかにした他、自律走行車が「幻滅期」の一歩手前を迎えていることを明らかにした。また、ここ数年注目されてきた「3Dプリンタ」が消え、変わって「4Dプリンティング」が黎明期として紹介されている。
米国の調査会社Gartner(以下、ガートナー)は2016年8月16日(現地時間)、「先進技術におけるハイプサイクル2016年版」を発表した。
ガートナーのハイプサイクルは2000を超えるテクノロジーを119の分野にグループ化し、その成熟度、企業にもたらすメリット、今後の方向性に関する分析情報を図で表したもの。先進的な技術が「大きな期待」「幻滅」「最終的な安定普及」といった共通のパターンで定着することから、それぞれの技術がこのハイプサイクルのどこに位置するのかを示した調査資料だ。1995年からグローバル版を展開している。
今回の「先進技術におけるハイプサイクル2016年版」では、主に製造業に関する限りは2015年版と大きな変化はなく、同じ技術革新の波が引き続き続いている状況を示しているといえる。
「過度の期待のピーク期」でも頂点にあるのが「機械学習」「コグニティブ・エキスパート・アドバイザー」などの人工知能(AI)関連技術である。また「コネクテッドホーム(スマートホーム)」や、仮想通貨だけでなくIoTのキーテクノロジーと見られ始めている「ブロックチェーン」なども過度の期待のピーク期へと入ってきている。
一方で、過度の期待のピーク期にはあるものの「幻滅期」に入りそうなのが、2015年版では過度の期待のピークだった「自律走行車」である※)。その他、「ナノチューブエレクトロニクス」についても幻滅期入りが目前という状況になっている。実際に幻滅期入りしたのが「自然言語による質疑応答システム」である。人工知能関連技術による盛り上がりで2015年は過度の期待のピークとなっていたが、実際に使用環境がそれほど生まれず2016年は「幻滅期」となっている。
※)関連記事:“幻滅期”に入った民生3Dプリンタ、IoTや自動運転は“過度の期待”がピークへ
一方で、特徴的なのが、ここ数年注目を集めてきた「3Dプリンティング」の文字が消えたことである。2015年版では「コンシューマー向け3Dプリンティング」が幻滅期の入り口に、「エンタープライズ向け3Dプリンティング」が啓もう活動期にあるとされてきたが、2016年版からは一切なくなっている。代わりに黎明期として登場したのが「4Dプリンティング」である。4Dプリンティングは、3Dプリンティングで作る形状が時間や条件などに合わせて変化するという新たな製造技術で、3次元に時間軸を加えて「4D」としている。ただ、これはまだまだ未成熟な技術であり今後どのように発展するかはまだ分かっていない。
ただ、全般的には、IoTおよび人工知能技術が新たなテクノロジートレンドとなる傾向はここ数年は変わっていないといえる。「IoT(Internet of Things、モノのインターネット)」は2014年版で既に過度の期待のピーク期となっていたが、そのまま幻滅期とはならずに、今回も「IoTプラットフォーム」が過度の期待のピーク期に入ってきている。技術を細分化して根強く高い期待感を維持しているといえる。
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