ソニーから独立して3年目を迎えるVAIOが転機を迎える。黒字化を達成し、PCとEMSに次ぐ「第三の矢」を放つ計画だ。
創設2周年を迎えたVAIOが2016年度の経営方針説明会を開催、2015年度の営業損益が黒字化する見込みであると明らかにした。同社2015年5月期決算は、2016年8月以降に公表される見込み。
同社はソニーからPC事業を継承することで立ち上がったが、設立初年度の2014年度は赤字決算であった。2015年度は主力のPC事業に大きな上積みが込めない環境ながら、「自立」を掲げて営業部門を新設するなどの各種施策や「VAIO S11/S13」の法人向けセールスが好調だったこともあり、2015年度には黒字化を達成した。
同社代表取締役社長の大田義実氏は「法人向けPC販売が好調であったことに加えて、EMS(Electronics Manufacturing Service:電子機器受諾生産)の本格立ち上がりが大きく貢献した」と黒字化の要因を述べ、加えて「設計製造を始めとした、多くの局面におけるオペレーションの効率化も進めた」と内外に渡るさまざまな施策が結実しての黒字化だとした。
同社EMS事業の例としては富士ソフトのロボット「Palmi」が知られるが、現在量産を計画しているテラダ・ミュージック・スコアの電子ペーパー楽譜専用端末「GVIDO」については大田氏は、「当初はプロトタイピングのみの予定であったものが、量産に結びついた」と同社の持つ“モノづくり力”が新たなビジネスを生む可能性を力説した。
PC製造とEMS事業の2軸を中心にする事業戦略に変更ないが、2016年度は南米でのライセンス事業を本格化する他、同社ではPCとEMSに続く「第3のコア事業」立ち上げを計画している。南米においては既にブラジルでは2015年9月からライセンス事業を行っており、起動の乗ったことから、新たにアルゼンチン、チリ、パラグアイでも事業を展開する。
「モノづくりの会社なのでそれを生かした事業になる。“受ける(受諾)”のではなく積極的に関与していく」と大田氏は意気込むが、詳細については「他社と協業する関係上(詳細は)お話できない。2016年度内には具体的な話ができるはず」とするに留めた。
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