センサープラットフォーム「M2.COM」本格始動、IoTの“ラストワンマイル”解消狙う

各種デバイスから集められたセンサーデータをクラウドに送る、「データ送信特化の組み込みプラットフォーム」である「M2.COM」が本格的に始動する。アームやボッシュ、日本TIなどが賛同し、日本市場へ展開する。

» 2016年06月09日 13時00分 公開
[渡邊宏MONOist]

 アドバンテックは2016年6月9日、IoT向けの産業用センサープラットフォーム「M2.COM」について、アーム、ボッシュ(ボッシュセンサーテック)、センシリオン、日本テキサス・インスツルメンツ、セムテックとともに日本市場への展開に関する提携を発表した。

 IoTに代表される「センサーから得られた情報をクラウドへ送って活用する」というビジョンは各社から提唱されているが、実現に際しては多くの問題が横たわる。特に各種機器に取り付けられたセンサーデータをクラウドまで送信する“ラストワンマイル”については、現場に応じた実装が必要となるため個別の作り込みが必要となってしまっており、スピーディーな実装を妨げる障壁となっている。

 M2.COMは産業用センシングデバイスに向けたモジュールフォームファクタと定義されており、「各種デバイスから集められたセンサーデータをクラウドに送る、センサーデータの送信に特化した組み込みプラットフォーム」として、IoT導入/実装の時間短縮、IoTのラストワンマイル解消を狙う。

M2.COMは各種センサーデータをゲートウェイに送るまでの中間に位置するデバイスのハードウェアとソフトウェアを定めることで、実装・開発の速度向上を狙う

 モジュールはマイクロプロセッサにセンサーインタフェース、ワイヤレスユニットから構成される。具体的にはCortex-M系のMCUと制御用OS(mbedもしくは他のRTOS)が実装されており、接続された各種センサーからの情報をワイヤレスでゲートウェイやサーバへ送信する。

 ワイヤレスについてはWi-FiやBluetooth、LoRa、DUST、3G、LTEなど各種が選択できる仕様となっている。モジュールの外寸は幅22mm×30mmないし42、60mmとされており、接続用コネクターのサイズも定義されている。

M2.COMモジュール(アドバンテック「WISE-1520」)とアドバンテックが用意するスターターキット。スターターキットには各種SDKも含まれており、センサーとクラウド(AzureもしくはWIES−PaaS)への接続を容易に試用できる
photophoto M2.COMモジュールのビルディングブロックとフォームファクタ

 M2.COMはオープンプラットフォームとされており、アームはMCUのIPおよびRTOS(mbed)、ボッシュ(ボッシュセンサーテック)とセンシリオンは接続されるセンサー、日本テキサス・インスツルメンツはワイヤレスならびにセンサー、セムテックはワイヤレス、アドバンテックはモジュール製造販売といった分野にて協力する。

 アドバンテックからはWi-Fiの通信機能を搭載した「WISE-1520」が提供され、Bluetooth搭載の「WISE-1530」、LoRa搭載の「WISE-1510」、LTE搭載の「WISE-1570」もおって販売開始される予定となっている。

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