ドライバーの状態をカメラとAIで把握する車載センサー、オムロンが開発自動運転技術

オムロンは、ドライバーが安全運転に適した状態かを判別する「ドライバー運転集中度センシング技術」を搭載した車載センサーを開発した。カメラで撮影したドライバーの顔と動作の映像をディープラーニングで処理し、ドライバーが自動運転から手動運転に復帰できるか判断する。2019〜2020年に販売される自動運転車などへの採用を目指す。

» 2016年06月07日 06時00分 公開
[渡邊宏MONOist]

 オムロンは2016年6月6日、ドライバーが安全運転に適した状態かを判別する「ドライバー運転集中度センシング技術」を搭載した車載センサーを開発したと発表した。2019〜2020年に販売される自動運転車などへの採用を目指す。

 運転をしているドライバーの状態はこれまでカメラや心拍数、ハンドルの動きなど複数情報を組み合わせることで把握してきたが、本技術では画像センシング技術とAI技術を組み合わることで把握する。居眠りやよそ見、スマートフォン操作、読書など、さまざまな状態を手のひらサイズのコンパクトなカメラ1台で判定できるという。

 具体的には搭載したカメラにてドライバーの「顔映像」と「動作映像」を確認し、これらの映像を時系列ディープラーニングによる画像処理によって処理し、「どれくらいの時間で運転に復帰できるか」を危険度レベルとしてリアルタイムに判定する。判別されたレベル(情報)は「ドライバーへの警告」「路肩への駐車」など、状態に応じた危険回避に使いられる。

カメラで撮影したドライバーの顔や動作をディープラーニングで処理するドライバーの状態の危険度に合わせて危険回避を行う カメラで撮影したドライバーの顔や動作をディープラーニングで処理する(左)。ドライバーの状態の危険度に合わせて危険回避を行う(右) (クリックして拡大) 出典:オムロン

 映像を対象とした時系列ディープラーニングは高負荷な処理となるため、本来ならば大規模サーバのような高い処理能力と大量のメモリを備えた設備を必要とするが、本技術ではカメラより取得した映像を「高解像度な顔映像」「低解像度の動作映像」に分離することで処理量を低減、車載情報機器単体でのリアルタイム処理を可能とした。ネットワーク接続を求めないため、既存車両への後付けや低価格帯車両への搭載も可能であるとしている。

 同社では本技術の技術デモンストレーションを「第22回 画像センシングシンポジウム SSII2016」(同年6月8日〜10日)、「CVPR Industry Expo 2016」(同年6月27日〜30日)に展示する。

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