平成28年熊本地震の影響を受けて稼働を停止していた自動車メーカーの工場で、生産再開のめどが立ち始めた。アイシン九州が代替生産で供給を再開させることにより、トヨタグループの各拠点は段階的に稼働再開する。一方、ホンダは生産休止期間を延長する。
平成28年熊本地震の影響を受けて稼働を停止していた自動車メーカーの工場が、生産再開のめどを立て始めた。
トヨタ自動車グループは、2016年4月23日まで停止する国内工場や車体メーカーの完成車組み立てラインのうち、5拠点を除いて25日以降段階的に稼働を再開すると発表した。
25日から堤工場(第1/第2)と豊田自動織機(長草302)、トヨタ自動車東日本(東富士、岩手第2)が稼働する。26日は高岡(第2)、田原(第3)、トヨタ自動車東日本(岩手第1、宮城大衡)が、27日はトヨタ車体(富士松第2)とダイハツ工業(京都)が生産を再開。28日からは高岡(第1)、田原(第1)、トヨタ車体(富士松第1、吉原第1/第2)、豊田自動織機(長草301)、日野自動車(羽村第2)が稼働する予定だ。
また、ダイハツ工業の大分(中津)工場と久留米工場も25〜28日の全日程で稼働する。
25〜28日も稼働が停止したままなのはトヨタ自動車の元町(第1、LFA工房)、トヨタ自動車九州(宮田第1/第2)、岐阜車体、日野自動車(羽村第1)となる。
トヨタ自動車と、トヨタ自動車向けの車両の組み立てを担う日野自動車は、アイシン九州とアイシン九州キャスティングから供給される部品が不足することから、23日まで九州以外の工場も稼働を停止させている。
ダイハツ工業も、被災した九州地方のサプライヤから部品供給が滞っていることから、トヨタ自動車からの受託生産分の組み立てを停止している。
アイシン九州とアイシン九州キャスティングはアイシン精機の生産子会社で、熊本県熊本市に拠点を構えている。ドアチェックなどの内装部品やドアフレームなどの外装部品、エンジンのダイキャスト部品などの生産を手掛ける。
一連の地震で、アイシン九州は建屋内の配線や配管といった生産用付帯設備のほか、敷地内の変電設備が被害を受けた。建屋内への電気の供給が停止している。19日からクレーンを用いて大型設備や生産型の搬出を進めている。一方、アイシン九州キャスティングは建屋や設備に大きな被害は出ておらず、破損した変電設備も20日に復旧した。
アイシン九州は熊本市での生産復旧には時間がかかると判断し、九州地区の協力会社や愛知県内のアイシン精機の工場で代替生産を始めた。製品によっては海外から調達して対応している。アイシン九州キャスティングは、電源が回復したことを受けて生産再開に向けた準備を進めている。両社とも生産再開のめどは未定だ。
ホンダは、熊本製作所(熊本県菊池郡大津町)の生産を22日まで休止する予定だったが、設備の被害状況を鑑みて28日まで生産休止を延長する。エンジン部品を生産する熊本製作所が稼働できないため、軽自動車の生産を委託している八千代工業も影響を受けて22日から一部生産を縮小して稼働する。その他の工場は通常通り生産を行う。
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