国産AUTOSAR準拠BSWに第3の選択肢、デンソーが子会社「オーバス」を設立車載ソフトウェア

デンソーとイーソル、NEC通信システムは、車載システムの基盤ソフトウェア(BSW:Basic Software)とその関連ツールの開発を行う合弁会社「株式会社オーバス」を設立することで合意した。国産のAUTOSAR準拠BSWに取り組む企業としては3社目となる。

» 2016年04月22日 13時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 デンソーとイーソル、NEC通信システムの3社は2016年4月21日、車載システムの基盤ソフトウェア(BSW:Basic Software)とその関連ツールの開発を行う合弁会社「株式会社オーバス」を設立することで合意したと発表した。

 現在、車載システムのソフトウェアを開発する際には、車載ソフトウェアの標準規格であるAUTOSARへの準拠が求められるようになっている。AUTOSARは、アプリケーション層となるソフトウェアコンポーネント(SW-C)と、OSやドライバといったBSWに分けられている。今回3社が開発と販売を始めるのはBSWである。

 新会社のオーバスは、BSWのユーザーでもあるデンソーが主要な役割を果たすことで、ユーザーにとって使いやすいBSWを提供し、自動車メーカーやECU(電子制御ユニット)開発メーカーの開発効率および品質の向上に貢献するとしている。

 オーバスの本社は、東京・品川駅前にある太陽生命品川ビルに置く。資本金は1億円で、デンソーが51%、イーソルが35%、NEC通信システムが14%出資する。社長には、デンソーの電子基盤技術統括部長を務める泉彰司氏が就く。設立は2016年5月で、操業開始時の従業員数は約100人を予定している。

 AUTOSARに準拠するBSWの販売では、AUTOSARの規格策定を主導した欧州勢が優位に立っている。ドイツのVector InformatikやElektrobitが主要なBSWサプライヤで、国内のソフトウェアベンダーの存在感は薄かった。ただし、2015年秋には、SCSKなど6社が協力して開発した「QINeS-BSW」が発表され、TOPPERSプロジェクトを主導する名古屋大学教授の高田広章氏が中心となってBSWを開発するAPTJ(Automotive Platform Technology Japan)も発足した。デンソーが中心となるオーバスの登場により、国産のAUTOSAR準拠BSWの開発はさらに活発化することになる。

 なおイーソルはQINeS-BSWの開発企業にも名を連ねているが「QINeS-BSW関連の開発は受託する形。オーバスでは、BSWを管理するツールの開発が主な役割になる。両方とも開発はしっかりと進めていきたい」(同社広報部)としている。

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