3DスキャナでリバースエンジニアリングしようCAD読み物

今回は3Dスキャナを用いたリバースエンジニアリングの活用法を紹介します。

» 2016年04月13日 10時00分 公開
[CAD Japan.com/MONOist]
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一歩先行く! 3Dスキャナによるリバースエンジニアリングの活用法

 リバースエンジニアリングとは、実物から3Dデータや図面を作成し、デジタル化する手法です。スピーディーな製品開発、時間や開発コストの節約に威力を発揮します。リバースエンジニアリングを実現するツールとして、ご存じの通り3Dプリンタが挙げられますが、今回は3Dスキャナにフォーカスを絞り、「3Dスキャナによるリバースエンジニアリングの活用法」を紹介します。

ノギスを例にリバースエンジニアリングを考えてみよう

 ノギスを使って手作業で計測し、その計測値をCADにデータ入力してモデリングする従来の作業を例に考えてみましょう。

 ノギスを使った計測では、モデリング結果と実物との間で形状や寸法に大きな誤差が生じる上、膨大な手間もかかります。3Dスキャナを使ってモデリングすると、誤差の小さい現物に近いものができるとともに作業効率もアップします。

 3Dスキャナを使用することで、モデリング工数の削減、ひいてはトータル開発コストの削減にもつながります。製品開発サイクルが短くなっている現在、3Dスキャナの活用は、短期間で精度の高い設計・製造につながります。そして、完成した3Dデータを3Dプリンタで出力して試作品を作り、それを複数の人にモニタリングさせて改良を加えることで、製品の完成度を高められますね。

こんなケースにも3Dスキャナは使える

 ノギスの例以外にも、次のようなゼロからCADデータを起こすことが難しい場合にも有効です。

  • 図面やデータのない過去や既存の製品
  • 手作りしたモックや原型
  • 試験に合格した試作品
  • 破損部分の修理
  • 人物など
モックの作成
ボディスキャンの様子

一度3Dデータ化しちゃえば、いろいろなことに使える

 一度3Dデータ化してしまえば、次のようなことに活用できます。

  • 製品設計データ取得
  • リデザイン
  • デジタルライブラリーの構築
  • 映像(CG)モデル作成
  • 3Dプリンタ出力など

実際の業務における具体的な活用例を紹介

  • モックの改良:通常、設計の初期段階では、粘土や木型を削り出したモックを作成します。デザインスケッチから手作りしたクレイモデルなどはデータがないため、モックの形状をスキャニングすることで、測定した点群データをモデリングし、デジタルデータ化できます。そのデータを3Dプリンタで出力した試作品をモニタリングすることで、改良点の発見につながります。
  • フィギュアの作成:複雑な工程を必要とするフィギュアの作成には、ボディスキャンという装置で人物全身をスキャンします。これでは精度が荒いため、顔の部分や指などの細かい部分はスキャニングできません。そのため、顔の部分は固定式のハイエンド機を使って、指などの細かい部分はハンディスキャナで補完します。それらを合成して、最終的な3Dモデリングデータを作り上げていきます。この3Dデータを3Dプリンタに出力して着色することで人物のフィギュアが完成します。
  • 自然素材の風合いをデータ化:木目や皮革や竹籠など自然の素材の風合いを製品の表面に施す場合、実際の素材を3Dスキャナで取り込みモデリングし、表面のデータに重ね合わせます。それを3Dプリンタでサンプル出力し、実際の風合いなどを確認した後に製品化できます。

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