フォルクスワーゲングループのアウディが、2015年の総括と2016年以降の戦略を発表する年次会見を開催。48Vシステムやプラグインハイブリッド車、電気自動車、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンと幅広く新技術を投入していく方針を示した。会見の様子と、新たに技術開発部門 担当取締役に就任したシュテファン・クニウシュ氏へのインタビューを併せてお送りする。
Audi(アウディ)ブランドの2015年を総括する年次会見が、ドイツ インゴルシュタットの本社で2016年3月に開催された。2015年のアウディの売上高は前年比8.6%増の580億ユーロ(約7兆3660億円)、利益は48億ユーロ(約6100億円)に達した。純利益は51億ユーロ(約6480億円)で、純利益率は8.8%となった。業績のプラス要因となったのは、アウディブランドに加えて傘下のLamborghini(ランボルギーニ)とDucati(ドゥカティ)の販売台数が伸びた点だ。さらに、バリューチェーン全体の改善や為替も好影響をもたらした。
一方で、激しい競争を乗り越えるべく投資を進めたのはマイナス要因になった。それでも2016年の投資額は30億ユーロ(約3810億円)に増やす。2015年の投資額は23億ユーロ(約2920億円)で、このうち、6億6800ユーロ(約850億円)は、BMWやDaimler(ダイムラー)と共同で行ったHEREの買収に投じた。
Volkswagen(VW)グループの年次会見の開催が遅れたこともあり、アウディの年次会見にはいつも以上の注目が集まった。しかし、会見はVWグループの問題に言及しない前提で行われた。
年次会見では、これまでの車載電源電圧として一般的だった12Vの4倍となる48Vの車載システムと電動スーパーチャージャーの組み合わせを搭載したアウディ初の市販モデル「SQ7 TDI」のお披露目が行われた(関連記事:ターボラグを抑制する電動スーパーチャージャー、マグナが開発中)。
2016年1月から取締役としてアウディの技術開発部門を率いるシュテファン・クニウシュ氏は「48Vシステムと電動スーパーチャージャーの組み合わせは、『RS5 TDIコンセプト』に積んだものと基本は共通だ。ベルトスタータージェネレーター、リチウムイオン電池、DC-DCコンバータを搭載している。今回は、電動スーパーチャージャーを排気量4l(リットル)のディーゼルターボエンジンに組み合わせることにより、最高出力435ps/最大トルク900Nmの大パワーを発揮することに成功した。さらにその他にも幅広く応用していく」と説明する。
48Vシステムによって「大きな電力を効率よく供給できるインフラを車内に構築することができる。その結果、瞬時にモーターを高回転数で回す必要のある電動スーパーチャージャーを駆動したり、電動アクチュエーターを駆動したりすることが可能になる」(クニウシュ氏)。
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