前回、TRIZでひねり出したアイデアを基に、実験して評価してみましょう。
前回はアイデアのコンサルタント 片桐朝彦さんが「『TRIZ』(発明的問題解決理論)」の考え方や、コマ設計での実践の仕方について解説しました。よいアイデアは出てきましたでしょうか? 今回は、出たアイデアに基づいて、コマの性能を評価する方法を紹介します。
品質工学のプロフェッショナルであるタカノの中原健司さんから聞いた、コマ設計での品質工学とシミュレーションの生かし方について順を追って説明していきます。
「品質工学」は、田口玄一氏が構築した技術開発効率化の手法で、1980年代に田口氏の企業での指導体験を基に体系化したものです。欧米では「タグチメソッド」「ロバストデザイン」と呼ばれています。昨今の日本においても欧米での呼び名がよく使われます。「直交表」(直交配列表)と呼ばれるパラメータテーブルを使い、ばらつきの少ない条件を効率よく探索していきます。
品質工学は、以下のように体系づけられています。
今回のコマ設計ではオフライン品質工学のパラメータ設計を用いました。
品質工学では、対象とする製品・技術のことを「システム」と呼びます。今回はコマがシステムということになります。システムは入力と出力の変換機能を持っており、システムにノイズが加わることで特性のばらつきが発生します。ノイズは「誤差因子」、パラメータは「制御因子」とも言われます。
従来型の実験では、ノイズをできるだけ排除して理想的なデータを得ようとしてきました。一方、品質工学では、ノイズを積極的に取り込むところに特徴があります。要は、わざとばらつきをたくさん発生させるような実験をして、その結果からなるべくばらつかない条件を探していくのです。
中原さんはコマのシステムについて以下のように解釈しました。
見て分かる通り、パラメータは設計者が直接コントロールできる要素です。逆にノイズは設計者がコントロールできない要素です。
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