「ぶつからないクルマ?」をキャッチコピーに拡販を続けてきた、富士重工業のステレオカメラを用いた運転支援システム「EyeSight(アイサイト)」。2010年5月から10万円で販売を始めた2代目の「EyeSight(ver.2)」の搭載車は、非搭載車よりも人身事故発生件数が約6割少ないことが分かった。
富士重工業は2016年1月26日、2010〜2014年度(2010年4月〜2015年3月)に国内で販売した同社車両の人身事故件数を基に、ステレオカメラを用いた運転支援システム「EyeSight(アイサイト)」の効果を調査した結果を発表した。アイサイト搭載車は、非搭載車と比べて人身事故発生件数が約6割少ないことが分かったという。
今回の調査で対象となったのはEyeSight(ver.2)である。EyeSight(ver.2)は、2008年5月発表の初代「EyeSight」に、時速30km以下であれば衝突を回避できる自動ブレーキなどを追加して機能を拡張した運転支援システムである。10万円という、当時販売されていた他の運転支援システムと比較して安価なオプション価格も話題になった。2010年5月に発売した「レガシィ」から搭載を始めている。
調査結果は、交通事故総合分析センター(ITARDA)のデータを基に富士重工業が独自に算出したもの。2010〜2014年度に同社が国内で販売した車両の中から、EyeSight(ver.2)搭載可能なモデルについて、EyeSight(ver.2)搭載車と非搭載車の人身事故件数を、その発生状況ごとに分類した。
2010〜2014年度のEyeSight(ver.2)搭載車販売台数は24万6139台。人身事故総件数は1493件で、このうち対歩行者が176件、対車両が1317件、対車両のうち追突事故は223件だった。1万台当たりの発生件数に換算すると、事故全体で61件、対歩行者が7件、対車両が54件、対車両のうち追突事故が9件となる。
一方、EyeSight(ver.2)非搭載車の販売台数は4万8085台。EyeSight(ver.2)の装着率は5年間の平均で83%だったことになる。そして、非搭載車の人身事故総件数は741件で、このうち対歩行者が67件、対車両が674件、対車両のうち追突事故は269件だった。1万台当たりの発生件数に換算すると、事故全体で154件、対歩行者が14件、対車両が140件、対車両のうち追突事故が56件である。
これらの数字から、EyeSight(ver.2)搭載車の人身事故発生確率は、非搭載車よりも、事故総件数で61%、対歩行者で49%、対車両で62%、対車両のうち追突事故で84%低いという計算になる。
なお、2014年6月から「レヴォーグ」とともに販売を始めた最新のアイサイトである「EyeSight(ver.3)」については、今回の調査の対象外となっている。富士重工業は今後も調査を継続する方針を示しているので、将来的にはEyeSight(ver.3)の事故軽減率も判明するかもしれない。
2010〜2014年度販売台数 | 事故総件数 | 対歩行者 | 対車両 | 対車両の追突 | |
---|---|---|---|---|---|
EyeSight(ver.2)搭載車 | 24万6139 | 1493 | 176 | 1317 | 223 |
1万台当たりで換算 | − | 61 | 7 | 54 | 9 |
EyeSight(ver.2)非搭載車 | 4万8085 | 741 | 67 | 674 | 269 |
1万台当たりで換算 | − | 154 | 14 | 140 | 56 |
搭載による事故軽減率 | − | 61% | 49% | 62% | 84% |
表 EyeSight(ver.2)搭載車と非搭載車の事故件数 |
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