富士重工業が、「2025年のハイウェイパトロールカー」のデザインチャレンジで優勝した「SHARC」は、「EyeSight 3D」を使った自動運転や、空を飛ぶ「ホバーモード」への変形、折りたたんでの収納が可能である。
富士重工業は、「ロサンゼルスオートショー 2012」(2012年11月30日〜12月9日)のデザインチャレンジで、同社が出品した「SHARC(Subaru Highway Automated Response Concept、シャークと発音)」が優勝したと発表した。
ロサンゼルスオートショーでは、毎年異なるテーマで、大手自動車メーカーのデザインスタジオが参加するデザインチャレンジを開催している。今年のテーマは、「2025年のハイウェイパトロールカー」。BMW、General Motors、本田技術研究所の日本と北米のデザインスタジオ、Daimler(関連記事)、そして富士重工業から6作品がノミネートされていた。
今年の審査基準としては、将来における先端技術の必要性への考慮、未来の高速道路システムに対応したスピードと俊敏性、問題解決に対する独創性、特定地域の排出ガス基準への対策、さらにメンテナンスと再生可能性を含む環境対応などが挙げられている。
富士重工業のSHARCは、ハワイの島々を結ぶ新しい「パラダイスハイウェイ」を想定した警察車両である。3次元レーザーレーダーとステレオカメラを使った走行支援システム「EyeSight 3D」を搭載することで、自動運転を実現している。
警察官はSHARCに搭乗できない。しかし、EyeSight 3Dの映像情報を映し出すゴーグルと、両腕に装着する専用のコントローラを使ってSHARCを操作できる。
4つのタイヤには、それぞれ96馬力のインホイールモーターを搭載している。タイヤのトレッドは、高速道路用と不整地走行用にフレキシブルに切り替えられるので、さまざまな路面に対応可能である。ボディ素材には、防弾性能と極限環境での耐性を持つケブラー不織布を用いており、軽量ながら高い強度を備える。
SHARCのイオンポリマーメタル複合材(IPMC)製のサスペンションアームは、一定の電圧をかけると、車輪が地面に対して平行になるように変形する。この状態から車輪を回すと、空中を飛行する「ホバーモード」に移行できる。
業務を終えた後は、車両の端部と中央に設置された「Volcano Wheel Core」をつなぐ圧縮コードを巻き込むと同時に、車両内に搭載する真空ポンプを使ってボディのケブラー不織布を折りたたむことで、専用のランチャーにすっぽりと収められる。
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