講演後半ではオムロンの血圧計とメカスイッチの、強度・寿命解析事例を紹介した。両者は一見異質のようだが、即壊れないか、繰り返し頻繁に使われる点(疲労で壊れないか)や金属と樹脂など異素材を組み合わせて構成されているなど共通点がある。もちろんコスト削減も必須なポイントだ。
例えば血圧計開発であれば、「腕帯」と呼ばれる測定のために腕に巻き付ける部品の溶着部の材料劣化や、引き延ばされた材料の強度などを検証するが、それも加工後における材料の状態を考慮しながら、実験とCAEによる検証を、GMIと現場の技術者が一丸となって行った。腕帯内の空気袋の中など目視が難しい挙動が、CAEにより可視化できた点もメリットとして挙げた。
マイクロスイッチの検証の場合、スイッチのオンオフなど使用時の負荷の他にも、部品加工時の応力集中箇所まで考慮して、疲労解析を実施した。専用の自動検知ソフトも開発した
2事例から見えることは、材料特性と加工の影響を正確に把握すれば、CAEの予測精度が向上するということである。また「実験を全てをCAEに置き換えるのではなく、実験とCAEを組み合わせることで製品や部品の挙動の傾向を効率よくつかめる」と岡田氏は述べた。
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