コンセプトカーのFFZERO1そのものはキワモノに近い車両だが、その中に込められたさまざまな技術要素は、今後のFaraday Futureの方向性を示すものになっている。
FFZERO1、そしてFaraday Futureが今後開発する車両にとって最も重要な役割を果たすのが車両プラットフォーム「VPA(Variable Platform Architecture)」だ。VPAは、車両の全長、ホイールベース、最低地上高、電池パックの搭載数(=電池容量)、モーターの搭載数などを柔軟に変更できることが特徴になっている。セダンやクーペ、SUVといった車両タイプも自由に変更できるとしている。
中でも電池パックについては「ストリング(strings)」と呼ぶ電池モジュールの単位で増減させられるとしている。ストリングを増やすと、その分だけ車両の全長とホイールベースが伸びることになる。
VPAと同様のコンセプトは、国内ベンチャーであるシムドライブやGLMなども提唱している。しかし実際に事業化につなげるのは容易ではない。Faraday Futureは事業化に向けてどのような車両を開発することになるのか注目だ。
Faraday Futureは、同じ米国の電気自動車ベンチャーであることから、テスラと比較されることが多い。しかし、今回発表したFFZERO1は、テスラの「モデルS」や今後開発するであろう「モデル3」とは明確に異なる点がある。
テスラの車両は、最初に開発した「ロードスター」を含めて従来の乗用車と同じ複数人で乗車するものになっている。これに対してFFZERO1は1人乗りだ。NASAの「zero gravity」デザインに着想を得た運転席や、ドライバーが持つスマートフォンをそのまま組み込めるステアリングなど、パーソナルモビリティとしての快適性や機能性を重視していることが見て取れる。
Faraday Futureは今後開発する電気自動車に自動運転システムを搭載する方針も示している。また、製造した車両を販売する従来の自動車のビジネスモデルではなく、Faraday Futureの自動運転パーソナルモビリティを“走るスマートフォン”のようなサービス提供プラットフォームにして、そのサービス料金で稼いでいくことを志向しているという報道もある。
FFZERO1について「これは1つのコンセプトを示すクルマ(a concept car)ではない。複数のコンセプトを詰め込んだcar of conceptsだ」と説明するFaraday Future。実際に量産販売するクルマはどのようなものになるのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.