サイプレス セミコンダクタは「オートモーティブワールド2016」で、新開発の車載用LEDランプ向けドライバIC「S6BL111A」のデモンストレーションを行う。小型化とコスト低減を両立し、車載ランプのLED採用拡大に対応する。
サイプレス セミコンダクタは自動車技術の展示会「オートモーティブワールド2016」(2016年1月13〜15日、東京ビッグサイト)内の「第8回国際カーエレクトロニクス技術展」で、小型かつ低コストな新開発の車載用LEDランプ向けドライバIC「S6BL111A」を展示する。1灯LEDを2.1MHzという高速スイッチング周波数で制御可能としながら、実装面積は従来の半分となる97.3mm2に小型化した。16ピンのHTSSOPパッケージで提供する。ヘッドランプや車幅灯、昼間点灯用ランプ、フォグランプなどLED化が進むフロントライティングシステムに向ける。現在サンプル出荷中で、2016年第2四半期から量産する。
同展でLED制御のデモンストレーションを行うS6BL111Aは、4.5〜42Vの入力電圧範囲をサポートする。低温時にエンジンスターターが大電流を消費してバッテリー電圧が降下する状態(コールドクランキング)や、エンジンの動作中にバッテリーが外れてオルタネータからの電流が車載システムに供給されることで起こる電力サージ(ロードダンプ)が発生しても、同製品は動作できる。
S6BL111Aは1チャネル1A出力のLEDドライバICでアナログとPWM制御の両方の調光機能をサポートする。スイッチング周波数は205k〜2.1MHzまで調整できる。出力電流精度は±2%。また、システムセーフティー機能として、出力電流制限やコールドクランキング時の意図しないLED解放検出出力のマスク機能を搭載している。保護機能の内蔵と、低価格なインダクタの採用により、従来比20%のコストダウンを実現した。
従来のLEDドライバICに大型で高価なインダクタが必要だったのは、低電圧を出力する際の最少ON時間に限りがあり、スイッチング周波数を低くするためだ。また、自動車のアプリケーションにおいてはAM帯を避けるため周波数を400kHzまで落とす必要があり、インダクタンス値が33μHでサイズが10mm角と大型で高価なインダクタを使用していた。
S6BL111Aは、スイッチングにおける最少オン時間を35nsへ削減し、AMラジオとの干渉を避けられる2.1MHzのスイッチング周波数で1Vまでの出力を可能にした。その結果、インダクタンス値が4.7μHでサイズが5mm角と小型の低価格なインダクタで1灯のLEDの制御に対応できた。
同社は車載用LEDランプの評価用開発キットも提供している。「Automotive LED Driver Evaluation Kit」(CYALKIT-L01、CYALKIT-L02)は、S6BL111Aをはじめ車載グレードの周辺コンポーネントや各テストポイントでの波形のモニタリングが容易になる外部ピン、回路変更やコンポーネントの追加が可能な補助PCBパターンを含む。
車載用LEDランプの採用拡大により、LEDドライバICの需要は「2020年に1億2000万個に拡大する」(サイプレス セミコンダクタ)としている。
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