東洋鋼鈑は、山口大学との共同研究をもとに、女性に適した健康情報を提供する遺伝子解析キットを開発した。乳がん、肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病に関連する12種類の一塩基多型を、高精度かつ簡便に測定できる。
東洋鋼鈑は2015年11月26日、山口大学との共同研究をもとに、女性に適した健康情報を提供する遺伝子解析キットを開発したと発表した。
個人向けの遺伝子解析サービスは、生活習慣病予防のための意識変化や、食生活や日頃の運動など日常生活を改善するきっかけとなることから、人々の健康増進に寄与するサービスとして期待されている。
東洋鋼鈑では、表面処理技術を生かして開発したDNAチップ基板を強みとして、これまで培った遺伝子解析技術をもとに遺伝子解析キットの開発を進めてきた。今回同社が開発した解析キットは、乳がん、肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病に関連する12種類の一塩基多型(遺伝子を構成するDNA配列の個体差)を調べるもの。DLC(ダイヤモンドライクカーボン)層を有する表面処理を特徴とする、同社のバイオチップ技術を用いている。
DNAチップ上には12種類の遺伝子を解析できる合成DNAが固定化されており、検体となる唾液サンプルからDNAを抽出・増幅した後、DNAチップと反応させると蛍光画像を得られる。この蛍光画像のパターンを解析することで、どのような遺伝子型であるかを判定する。このように、対象となる12種類の一塩基多型を1チップで高精度かつ簡便に測定できる。
同キットは、山口大学発のベンチャーであるブラケアジェネティクスが開始するサービスの1つ「女性の健康度評価遺伝子検査」に使用される。遺伝子解析のデータと生活習慣病などの環境要因のデータを組み合わせることで、女性の健康増進に有用な情報を、より個人にカスタマイズした形で提供するサービスだ。
検査を申し込んだ利用者が専用容器で自分の唾液を送付すると、遺伝子解析後に解析結果を個人用サイトで閲覧できるようにする予定。今後、1000人規模のモニターを実施し、その後2016年4月からサービスを開始する予定だという。また、乳がんになりやすい体質か否かを判定する「乳がんのなりやすさ遺伝子検査」(山口大学医学部発明の特許技術)の発売も予定されている。
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