設計者が3D CADでモデリングしたものを即座にCAEを扱い製品の評価をするのが「設計者CAE」です。
本記事は、CADを快適な環境で使ってもらうソリューション専門街「CADJapan.com」から転載しています。
近年、設計者が3D CADでモデリングしたものを即座にCAEを扱い製品の評価をすることで、不具合の早期予測を行い開発のフロントローディングにつなげていくことが可能とされています。しかし、実際に企業にて設計者CAEを導入しようとしてうまくいかなかった例なども上がっております。設計者がCAEを使いこなしてくには静解析の考え方と、3次元モデルを作成する際のテクニックとは違った解析のためのテクニックというものを理解することが必要です。
設計者向けCAEではCADでモデリングしたデータをそのまま使用し、解析の計算を行うことが可能です。この設計者向けCAEにより、多くの設計者がCAEを活用できるようになりました。しかし、作成したモデルをそのまま解析してしまうと、モデルが一部間違っていたり、解析をするのには、負荷が大きすぎる場合があります。そのため事前にCAD上で確認しておいた方がよいことや、モデルを簡略化し解析用のモデルとして修正することも必要になります。
作成したモデルの質量を確認することで全体的なモデルの重さなどが分かります。質量による違いを考慮した強度計算や、自重による傾きによる転倒のしやすさなどを確認する場合、事前に質量を確認しておくことで解析前にもその予測が可能になります。
組み立て品などを解析する場合、そのままCADモデルを使用すると部品内にたくさんのボルトが使用されていることもあります。CAEでは3Dモデルをメッシュという有限の要素に分割をして計算を行うため、その要素が多くなると多くのメモリを消費し、解析計算時間も長くなります。そのため、ピンの軸力やボルトの締め付け力などを考慮した計算をCAEですることが可能であり、そのためボルトモデルを解析から除外し計算負荷を軽減することが可能です。
設計者向けCAEの操作は、そんなに難しくありません。しかし、ソフトの操作ができるようになっても構造解析の結果が正しいかどうかは分かりません。設計者向けCAEソフトにおいても、条件設定の仕方や結果の評価によるノウハウもある程度は必要になります。
CAEではメッシュという有限の要素に分割をしますが、その分割のサイズ(メッシュサイズ)によって応力や変位の結果が変わってきます。そのためどのくらいのサイズでメッシュを切るのかというのが非常に大事になります。
CAEでは荷重を加えた際に、モデル内部でどのような応力分布になっているのかを確認していきます。そのため荷重を加えてもモデルが動かないように必ず拘束(固定)条件を設定しておく必要があります。しかし、この拘束のつけ方によっても解析結果が変わってくるので、どのような検討を行いたいのか現実ではどのようにものが取り付けられているのかなどを考慮して拘束の設定方法を検討する必要があります。
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