ご覧いただいた通り、操作そのものは非常にシンプルですが、うまくスキャンするには慣れが必要です。ここでは、筆者が試行錯誤した様子をご紹介したいと思います(お試し期間がわずかだったので下手ですが……)。なお、スキャンした環境は特別な撮影設備ではなく、アイティメディアのオフィス内です。
まずは、デスクの上に対象物を置いてスキャンしてみました。記念すべき“ファーストスキャン”は、ソフトビニール製のアヒル(の置物)です。クチバシ部分にやや光沢はありますが、大きさ的にも形状的にもテストにちょうどよいかと思います。
何も考えず、デスクに置いていざスキャンです。フォーカスを合わせるのはそれほど難しくありませんでしたが、何となく縦じまのノイズ(?)が気になります。そして、スキャン開始から数十秒……。何とも残念な結果になってしまいました。
デスクの真ん中に置いてしまったこともあり、アヒルの背面部分のスキャンが難しく、もう少し回り込みやすい場所に対象物を置くべきだったと反省しました。
また、途中でスキャンが失敗して、プレビュー画面上で取り込んだ画像が固まってしまうことが何度かありました。これは、先ほど紹介した連続したスキャンイメージ同士の位置合わせに失敗してしまったからです。恐らく、はじめのうちはこのスキャンエラーに悩まされるかもしれませんが、あせらずゆっくりとスキャンするように心掛ければ成功率が次第に上がってきます。
続いて、布製の小さなサッカーボールをスキャンしてみました。今度はスキャンのしやすさを重視し、ペットボトル(と土台)を使ってボールをデスクから浮かせ、さらにそれをデスクの縁近くに置いてみました。しかも、手に持ったスキャナ本体の位置をできるだけ固定して、ペットボトルの方をゆっくりと回してみました。
結果はこのような感じになりました。土台は余計でしたが、ボールの形状は比較的きちんとスキャンできていると思います。ポイントはスキャナの位置をできるだけ動かさないようにして、ペットボトルをゆっくりと回し、サッカーボールの外周をざっと取り込むことです。次にスキャナを上下して、うまく取り込めていなかった天面と底面側を丁寧にスキャンしていきました。
もう少し検証が必要かもしれませんが、もしかすると、スキャナ側を固定した方がきれいにスキャンできるのかもしれません。
では、複数の対象物を一度にスキャンしたらどうなるでしょうか? アヒル、サッカーボールの他、塗り薬の容器、謎の人形(水色)、植物(ガジュマル)をデスクに並べて丸ごとスキャンしてみました。今度は対象物を置いた状態で、スキャナを手で動かしながらスキャンを行いました。
実は、この実験がフォーカスもすぐに合い、スキャン作業もスムーズに行えました(3回目ということで、慣れもあるかもしれませんが)。結果はご覧の通りです。
ぱっと見はきれいにスキャンできていますが、よく見ると塗り薬の容器に関しては、一部がおかしな形状になっていました。恐らく最も光沢があり、凹凸のないツルリとした形状だったからかもしれません。これに対し、思いのほかきれいにスキャンできていたのが植物です。凹凸のある有機的な形状がよかったのかもしれません。ただ、枝葉の部分は非常に細いのでこれをそのまま3Dプリントするには少々ムリがありそうです。
その他、スキャナを手に持たずに固定して対象物を回す方法にもチャレンジしてみましたが、回転台(ターンテーブル)を持ち合わせていなかったので、あまりうまくスキャンすることができませんでした。中村薫氏の連載のように、スキャナと連動して動くターンテーブルを用意できれば、きれいに撮影できるのかもしれませんね。
人物のスキャンに関しては、時間の関係であまり実験できませんでしたが、苦手とする黒(髪の毛)やメガネを除けば、比較的被写体の特長を捉えたスキャンが可能かな? という印象です。髪の毛の長い女性などは、髪留めなどを付けるとスキャンの成功率が上がるようです。
一通りの実験を通じての感想としては、オブジェクトモードでスキャンする場合は、連続するスキャンイメージ同士の位置合わせに失敗しないように、とにかくゆっくりと丁寧にスキャンすることが大事だということです。そういう意味では、スキャナ側を固定して、対象物をターンテーブルに置いて回しながらスキャンした方がきれいに取り込めるのかもしれません。
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