山本氏は「インダストリー4.0におけるスマートファクトリーの実現は2030年ごろとわれているが、部分的に実現することは可能だ」とし、既にデジタル化により設計と生産を連携させる同社のソリューションが、イタリアの自動車メーカーMaserati社の工場に採用されている事例を紹介。さらにインダストリー4.0の実現に向けた、同社の今後のさらなるソフトウェアの開発戦略の方向性について説明した。戦略の軸となるのはPLM、MES、オートメーションの3つだという。
「モノづくりの情報を集約するPLM、工場の中で生産を指示するMES、生産ラインを行うオートメーション機器の3つが相まってスマートファクトリーを実現させていくというイメージになる。バーチャル空間でモノづくりを行い、そのデータを活用して生産準備や生産工程の設計を行う。生産自体も常にモニタリングすることで、不良品などが発生した場合はすぐに自動で他の生産ラインに流れていく。MESは製造への指示だけでなく、ERPから生産計画を取得したり、必要な材料をSCMの仕組みを利用してサプライヤーに発注したりといった役割にも担う。これによりモノづくりの工程全てが追跡可能になるというような全体像を描いている」(山本氏)。
また現在ではスマートファクトリーの“部分的な実現”に向け、顧客に対してシーメンスPLMソフトウェアとシーメンスのオートメーション部門が共同で提案を進める場合もあるという。
こうした将来的なスマートファクトリーを実現する上で、シーメンスPLMソフトウェアが重要な技術として挙げるのがデジタルツインだ。デジタルツインとは、物理的な生産設備の情報を全てデジタル化し、生産設備やそこで使用するロボットの動きなどを事前に検証できるシステムのこと。単なるデジタル化との違いは、実際の設備に取り付けられたセンサーなどにより、状況の変化がすぐにデジタルデータに反映されるため、より高度な検証が行えるという点だ。
シーメンスPLMソフトウェアは会見で、こうしたデジタルツインを実現する同社のプラント/ロボットシミュレーションのデモンストレーションを、「2015国際ロボット展(2015年12月2〜5日、東京ビッグサイト)」で展示することを明らかにした。
ロボットシミュレーションでは、ロボットそのものだけでなく、コンベアなどのロボットと同期して動く周辺機器や製造ラインをコントロールする制御ロジックも含め、デジタルツインによる事前シミュレーションが行える様子を披露する。
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