造形速度についても「3Dデータのスライス形状を一層ずつシート化する工程と、それを順番に積層していく工程を同時並行に行うことができるので、他の出力方式に比べて高速に造形できる」と説明員。展示会場では高速造形の参考として、約30分間で30個のパーツを一括出力したという造形サンプルや、1時間に50個以上、60個以上造形可能なサンプルが展示されていた。
「これまで3Dプリンタは試作を中心に活用されてきたが、われわれの3Dプリンタがまず目指すのは数百個規模の小ロット生産だ。恐らく、射出成形機からの置き換えがターゲットになってくるだろう。製造装置として活用できるよう造形物の精度や強度、造形速度といった基本性能を高めることを重要視して開発を進めている」と説明員。
残念ながら、使用可能な汎用樹脂材料の種類や最大造形サイズ、積層ピッチなどの仕様についても非公開ということで、詳細を聞くことができなかった。また、カラー対応については、「現段階では単色での造形を想定しているが、将来的にはフルカラー化も検討していきたい」(説明員)とのことだ。
3Dプリンタの開発について、数年前から取り組んできたという同社。「今回のコンセプトモデルの開発は、キヤノンがこれまで培ってきたプリント技術やその他の保有技術の積み上げにより実現できたものだ。ただ現状では、24時間フル稼働させるための耐久性や稼働時の消費電力といった課題も残されている。こうした課題をクリアし、今後3年以内に製品化したいと考えている」(説明員)という。
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