Robert Boschの取締役であるディルク・ホーアイゼル氏が、同社の電動化や自動運転技術の方向性について講演した。電動化では、2015年9月に買収したベンチャー企業の技術を基に、2020年代に全固体電池を量産する方針を示した。
2015年10月9日にイータスが東京都内で開催した「車載制御開発シンポジウム」の基調講演に、Robert Bosch(ボッシュ)の取締役であるDirk Hoheisel(ディルク・ホーアイゼル)氏が登壇した。
ホーアイゼル氏の講演タイトルは「Future of Mobility」。自動車を含めたモビリティが今後どうなっていくかについて述べた。
まずホーアイゼル氏は、Volkswagen(フォルクスワーゲン)グループの排気ガス不正に関連して注目を集めている「電動化」について、「今後10〜15年で普及が進むだろう」と語った。その一方で、「今後数十年は内燃機関が重要な役割を担うことに変わりはない。内燃機関に効率を向上できる余地がある以上、改善のための取り組みは必要だ」(同氏)という見解も示している。
ボッシュは、ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車、電気自動車を含めた電動車両の出荷台数は2012年が180万台、2015年が320万台、そして2020年には1210万台まで伸びると予測している。これは世界全体の自動車出荷台数の約10%を占める数字だ。そして2025年には、電動車両の出荷台数比率は15%になるという。
自動車の電動化を進める上で最大の課題は二次電池の性能不足だ。同社は2020年を目標に、コストの半減とエネルギー密度の倍増を実現したリチウムイオン電池を開発する方針である(関連記事:車載リチウムイオン電池のコスト半減と容量倍増を2020年に実現――ボッシュ)。
ホーアイゼル氏はさらにその先の技術として、2015年9月に買収した米国ベンチャー・SEEOの全固体電池の技術を紹介した。「革新的な全固体電池の技術を獲得したことにより、二次電池の性能を2020年の目標以上に高めることが可能になる。なお、全固体電池は2020年代に量産を始めたい考えだ」(同氏)という。
電動化とともに重視しているのが、自動運転技術による「自動化」である。ホーアイゼル氏は、「自動運転技術は、高速道路、一般道、自動駐車という3つの場面で実用化時期が分かれてくると思う。高速道路であれ一般道であれ、公道で高レベルの自動運転技術を導入するには、法律改正が必要になる。だが、駐車場内における自動駐車、いわゆる『自動バレーパーキング』にはそういった制限が少ない。当社は2018年までに、自動バレーパーキングが可能なシステムを提供する計画だ」と述べている。
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