石川氏が見直しを行いながらの設計を可能にするツールとして紹介したのが、ルールベースチェッカー「HyperLynx DRC」を中心とした設計・検証プロセスだ。XpeditionならばHyperLynx DRCは完全に統合した状態で動くため、シミュレーションモデルの準備さえできれば見直しながらの設計が容易に行える。シミュレーションモデルの作成は手間となるが、同社では「HyperLynx Alliance」を推進し、既にアルテラがHyperLynx SI用にシミュレーションモデルを提供している。
HyperLynx Allianceにはアルテラの他、PMC-Sierra、Samtec、eASICといった企業が賛同しており、これら企業からもHyperLynx SI用モデルやHyperLynx DRC用ルールが提供される見込みだ。
講演の最後に、石川氏は「現在構想中」と前置きしながら、同社が取り組んでいる新技術、新サービスの一部を紹介した。取り組みは大きく分けて、MathCADなどサードベンダーツールとの連携を含む「システム設計強化」、Digi-Keyでの部品検索やライブラリダウンロードを含む「部品検索、部品ライブラリ」、リジッドフレキ設計などの自由度を高める「3次元設計のさらなる対応」、スケッチプランナーなど「ルーターのさらなる強化」、リユースプロセスの自動化や高度な同期制御を行う「リユース機能の強化」だ。
なお、これらは全て製品への実装が決定していない「開発中」の事項であるが、石川氏が唯一、「2016年にお届けできる」と投入時期を明言したのが、3D機能の拡張だ。3D CADのようにPCBを立体的に配置することで、干渉チェックの他、スタックアップもフレキやリジットフレキに対応。また、カバーレイヤーにも対応することでFPC固有の層にも対応できるとしている。
PCBを含めた電子機器設計の作業を効率化・自動化するツールや手法などを「EDA(Electronic Design Automation)」と呼ぶが、石川氏はパートナーと協調して競争力のある製品をタイムリーに投入するためには、単純なEDA導入ではなく、設計システム全体の設計がカギになると述べ、「メンターが“次の設計環境”をお届けします」と自信を示した。
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