Mentor Graphics(メンター)は、ICに内蔵するダイの設計データを基に、最適なパッケージ基板やプリント基板の設計を可能にする電気CADプラットフォーム「Xpedition Package Integrator」を発表した。
Mentor Graphics(メンター)は2015年3月23日(米国時間)、ICに内蔵するダイの設計データを基に、最適なパッケージ基板やプリント基板の設計を可能にする電気CADプラットフォーム「Xpedition Package Integrator」を発表した。
同社は2014年3月に、電気CADプラットフォームを「Xpedition」に刷新する方針を打ち出している(関連記事:PCB設計者の“ニュータイプ”に贈る――メンターが電気CADの新製品を発表)。今回のXpedition Package Integratorは、2014年3月の発表で機能強化を図った電気CADをベースに、ICのダイとつながるインターポーザやパッケージ基板、ICを実装するプリント基板について、それぞれ最適な設計を行えるような協調設計/最適化ソリューションを構築したことを特徴としている。
メンターのシステム設計部門でビジネス開発マネジャーを務めるDavid Wiens氏は、「Xpedition Package Integratorは、2社の大手半導体メーカーを含む5社の先行ユーザーに2年間利用してもらい高い評価を得ている。従来はExcelやVisioといったMicrosoftのツールでやりとりしていたダイの情報を仮想ダイモデルで管理することで、そのダイに最適なパッケージ基板やプリント基板の設計が可能になる」と語る。
従来、ダイやパッケージ基板、プリント基板は、それぞれ異なる部署や企業が、異なるツールを使って設計していた。そこで、パッケージ基板の設計に必要なダイに関する情報や、プリント基板の設計で求められるICパッケージの端子情報は、Excelのスプレッドシートなどで提供されるのが基本だった。同社によれば、この設計手法は「壁を乗り越える」というものだった。
しかし、SIP(システム・イン・パッケージ)やTSV(貫通シリコンビア)を使ったダイの積層技術などによって、ICパッケージ内に複数のダイを組み込むことが一般的になりつつある。従来のように、ダイを1個だけ用いるICパッケージに比べて、パッケージ基板や複数のダイの組み合わせに用いるインターポーザなどの設計コストが増加している。
またユーザーの用途に合わせたプリント基板の構成にするため、ICのパッケージ基板の設計を最適化したいという要望も出てきているという。例えば、あるユーザーがICとは別にDRAMをプリント基板に搭載する場合と、DRAMをICのパッケージ内に混載したい場合では、パッケージ基板もプリント基板も設計が異なってくる。
そういった、パッケージ基板やプリント基板の設計変更を容易に行うために「壁を貫く形で協調設計を行えるようにした」(同社)のが、Xpedition Package Integratorだ。
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