ウェアラブル環境情報ネット推進機構は、「イノベーション・ジャパン2015」において、身に着ける冷暖房装置「ウェアコン」を展示した。2016年3月をめどに製品化を検討しているという。
ウェアラブル環境情報ネット推進機構は、科学技術振興機構(JST)と新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)が主催する「イノベーション・ジャパン2015」(2015年8月27〜28日、東京ビッグサイト)において、身に着ける冷暖房装置「ウェアコン」を展示した。
ウェアコンは、その名の通り、ウェアラブルなエアコンである。ただし、全身に装着するタイプの器具ではなく、頸部に巻くネックウェアと外付けユニットから構成されている。ネックウェアには、頸部の左右と後側に接する3カ所にペルチェ素子が埋め込まれている。冷房で使うときには、ペルチェ素子で頸部を冷やし、ペルチェ素子の逆側で発生する熱はネックウェアの表面を通す循環冷却水チューブを通して外付けユニットに組み込まれているラジエータまで送り込んで放熱する。暖房で使うときには、ペルチェ素子で頸部を暖めるが、冷房のときのような放熱は不要なのでバッテリーだけで運用できる。
冷暖房ともネックウェアの部分の変更はほぼ不要で、外付けユニットを変更する。冷房時の外付けユニットはラジエータや冷却水用のポンプ、バッテリーが組み込まれているので大きいが、暖房時の場合は制御回路とバッテリーだけになるので小さい。「血管がたくさん通っている頸部をネックウェアで冷やしたり暖めたりすることで、十分な冷暖房効果が得られる。一般的なエアコンと違って空気を介さないので冷暖房の効率は極めて高い。消費電力は冷房時で30W以下、暖房時で10W以下」(ウェアラブル環境情報ネット推進機構)だという。
想定する用途は、夏や冬に作業環境が厳しくなる農作業、工場作業、建設現場、交通整理などだ。
ウェアコンは、NEDOの省エネルギー革新技術開発事業の資金を受けた「快適・省エネヒューマンファクターに基づく個別適合型冷暖房システムの研究開発」(2012年12月〜2014年2月)のもと、ウェアラブル環境情報ネット推進機構と東京大学、竹中工務店の3者で開発した。現在事業化も進めており、2016年3月をめどにした製品化を検討している。
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