技術ポイントの2つ目は、倉庫内の3Dマップ技術だ。同技術は、シーイーシーが展開する3D動線表示・分析ソフトウェアの「RaFlow」を活用。3Dマップの作成に加え、リアルタイムでの動きに対する補正技術などを保有しており、倉庫内を移動している場合でも正確にマップ上での位置情報を把握できる。
またシーイーシーでは動線分析技術なども保有しているが、これらを生かし倉庫内の最短経路をシミュレーションすることが可能だ。シーイーシー インダストリーオートメーションBG 第一営業部 グループマネージャー 松井裕晃氏は「従来の倉庫ナビゲーションは番地を決めてその順番に案内するケースが多かったが、動線分析技術などを含めて最適な最短経路を示すことができるのが特徴だ」と語っている。
3つ目が民生機器を活用したウェアラブル技術だ。サトーでは、マップの確認や音声案内用および倉庫管理システムとの情報の授受用の端末として民生機器であるiPod touchを採用。これにバーコードなどを読み取る小型スキャナを用意し、左右の手に装着することで、両手を使った作業を行いながら、位置情報の記録を行うことが可能だ。さらに民生用の汎用品を活用することで端末コストを大幅に低減できる。上田氏は「製造台数が大幅に多いため民生品を活用すればコストが安いだけでなく圧倒的に高いスペックの端末を活用可能。結果として使い勝手の面でも優れている」と語っている。
これらの技術により、作業者は作業の簡略化が行えるとともに、管理者にとっては位置情報を基にした作業ログが取れるために業務改善などにつなげることができる。出庫作業については特に作業の簡略化が可能。上位システムからのピッキング指示情報を基に自動的に最短経路を計測し、手元の端末に動線が表示される。さらに音声ガイダンスが行われるため、いちいち場所を確かめたりする必要がなくなる。
システムの価格については「40×40mで作業員が10人と想定した場合、500〜1000万円程度の価格となる」(上田氏)。サトーとシーイーシーでは当面メインターゲットを「平置き、フリーロケーション管理の大型物流倉庫」とし、提案を進めていく方針。2016年3月までに5拠点への導入を目指すとしている。
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