日立製作所は物流倉庫などで商品を棚ごと搬送する無人搬送車向けに、搬送による商品棚の移動を検知し、無人搬送車に登録された商品棚の配置図をリアルタイム更新しながら自車の位置を認識する技術を開発した。これにより床面にマーカーなどを設置せずに無人搬送車を自律走行させることが可能になるという。
日立製作所(以下、日立)は2015年8月4日、物流倉庫などで商品を棚ごと搬送する無人搬送車向けに、搬送による商品棚の移動を検知し、無人搬送車に登録された商品棚の配置図をリアルタイム更新しながら自車の位置を認識する技術を開発したと発表した。これにより床面にマーカーなどを設置せずに、無人搬送車を自律走行させることが可能になるという。
倉庫内などで無人搬送車を利用する際には自車の位置を認識をさせるため、床面に2次元バーコードなどのマーカー設置する場合がある。しかし倉庫の規模によっては、数千〜数万個のマーカーが必要になるため、マーカーの敷設や保守にコストが掛かる点や、商品の量や種類の変動に応じた設備レイアウトの変更を容易行えないことが課題となっていた。
また、マーカーを使用せず、無人搬送車に距離センサーを搭載して自車の位置を認識させる手法も開発されている。しかしこの場合、登録されている配置図と移動中の計測結果とを照合することで自車の位置を認識しているため、周囲の環境が大きく変化しないことが使用の前提となる。そのため常に商品棚が移動する環境では利用できなかった。
今回日立が開発した技術は、こうした課題を解決するものだ。無人搬送車に事前に登録する配置図を、倉庫の壁や柱などの「動かない領域」と、商品棚などの「動く領域」に分けている点が特徴となる。この2つの領域で構成した配置図の情報と、無人搬送車に搭載した距離センサーで計測した柱や商品棚の位置情報を照合する。無人搬送車は、自車の位置を認識して「動く領域」にある商品棚の配置のみを更新するという仕組みだ。
これにより動かない壁や柱の位置を誤って変更せずに、配置図の精度を保ちやすくしている。さらに配置図の更新対象を動く領域に限定することで、配置図を更新する時間の短縮を実現。これらにより無人搬送車は、商品棚の配置の変化をリアルタイムに配置図に反映し、自車の位置を認識し続けることが可能になるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.